青空コントレイル

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「あの人な、日本語で通信してくるねん」








「俺いつも『啓司さん行ってきま〜す』って言われる」








日本語で通信？

でも今日の648便の通信は流暢な英語で･･･








「今日はエマージェンシーやったからな」








私の顔を見た数原さんが教えてくれた。

そりゃそうか。







「山下さんと登坂さんはとても仲が良いんですね」







「なんで？」







あれ？私間違ったかな？

黒木さんがししゃもをお箸で持ち上げたまま

不思議そうに私を見つめる。







「登坂さんが山下さんのことを健ちゃんと呼んでたので」






「あ〜(笑)

健二郎が登坂と仲良く出来ると思う？」








確かに、性格はきっと、正反対だと思う。








「登坂が健二郎に一方的に懐いてる感じかな。

登坂がまだパイロットの訓練生だった頃、

実地試験が何回かあって、

何の因果か、全部健二郎の管制だったの。

そのおかげか登坂は試験全部１発合格。

その頃かな。登坂が健二郎にアタックし出したのは(笑)」







「へぇ。俺もその話初めて聞きます」







私よりも身を乗り出す数原さんが

お箸を置いて黒木さんの話に耳を傾ける。







「数原は想像つくと思うけど、

あの2人揃ったら向かうとこ敵なしって感じじゃん？」







「はい。あのお2人はほんとすごいっす！」







「去年の夏だったかな。ゲリラ豪雨で視界不良。

滑走路閉鎖寸前で俺らは焦るし、

パイロットもなんも見えねぇから

みんな着陸できずにゴーアラウンド(着陸復行)。

でも、あいつら俺らの心配をよそに１発で着陸してさ」








「あれはほんまにかっこよかったです！！」








「天才同士、馬が合うみたいよ。

2人ともお互いの才能は認めあってるけど、

健二郎は登坂を煙たがってる(笑)」








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