《完結》彼のスーツを脱がす時９【NINO】 (ページ12)

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252.叶わぬ夢の結末ページ12

二宮「Aちゃんの記憶には…きっとないだろうね」

お店にはカラーから日に焼けセピア色に霞んだ写真が一枚飾られていた

そこにはまだ1、2歳の女の子が…………

見覚えのある花柄の可愛いワンピースを着ていた

「これ……私？」

　

二宮「そう…ここの先代が大事に持っていたものだよ」

「先代って…オーナーのお祖父様？」

私には見に覚えのない写真

オーナーのお祖父様である先代の大野さんは私がこの店にきた時には他界していた

それを大事に持ってたって

何かわからないけど

胸がざわざわする

見せられた結果が

パズルのピースをはめていくように式を完成させてく

困惑に見た二宮さんは目を憂いに細め

躊躇うように唇を開いた

二宮「うん…本来は貴女にこれを伝えるのは俺じゃないんだろうけど、大野さんもきっと貴女のお母さんも貴女にこの話をするまでに時間がかかるだろうから」

「二宮さんっ、どういうことなんですか」

ぎゅっと彼の両腕を掴むと

彼は安心させるように優しく笑う

二宮「…貴女のお母さんと大野さんのお父さんは姉と弟なんだよ」

「…え？」

お母さんと…

オーナーのお父さんが…

姉弟？

二宮「ここの先代、つまりAちゃんのお祖父さん」

先代が私の…………お祖父ちゃん？

「ちょっ、ちょっと待ってください、話が全く飲み込めないです」

二宮「もともとこのお店はお祖父さんからAちゃんのお母さんへと継がれるはずだった」

お母さんは全く親戚への繋がりを私に見せなかった

それは幼心に聞いてはいけない事なんだって

いつしか自分の中で植え付けられていた

二宮「だけど貴女のお母さんはここよりもAちゃんを選んだんだ」

「私を………選んだ？」

二宮「お祖父さんは婿養子をもともともらうつもりだったけど、Aちゃんのお母さんはテーラーとは全く関係のない仕事をしているお父さんと出逢い恋に落ちた」

お母さんが洋裁が上手だった本当の意味

二宮「Aちゃんのお父さんも婿養子になる事も考えていたみたいだよ」

そして私には知らないお父さんとの事

二宮「でも、その時間もなく貴女がお母さんのお腹に宿った」

全てのピースがはまっていく

二宮「そして、Aちゃんのお父さんはそれを叶えることなく亡くなった」

生まれた時にはいなかった写真の中にいたお父さん

父は交通事故で亡くなったとだけ母からは聞いていた