224.ごめんね？ ページ15
意識が覚醒されるなかなかなか瞼を開けれないのは
薬のせいかな
薬…………薬？
あれ？私自分で薬のめた？
熱をはかったら目眩とともにベッドに倒れて…それから…
二宮『Aちゃん』
幻影と幻聴のように脳裏に彼が見えて
それを追いかけるようにバチっとあけた瞼
「二宮さんっ」
自分の声が静かな部屋に響いて
いきなり起こした身体にまた目眩がする
部屋には当たり前だけど自分だけで
あっという間に現実に引き戻され萎む心
だけど汗を拭おうとあてた額が冷たく
すっかり下がった熱にほっとした
汗もかいたからかな
っと見た部屋着に手が止まった
「………あ…れ…？」
私、昨日洋服のまま倒れて…自分で着替えた事すらも覚えてない
だけど妙な胸のざわつき
部屋はいつも通りなのに
必死にその理由を探す
ベッドの横にあるサイドボードには見覚えのない処方薬
「…夢…………」
二宮『約束やぶって…ごめんね』
「じゃない」
そしてその横には
彼から日本を発つ前にもらったミラーキューブ
「二宮さっ」
バラバラになったミラーキューブは私にはどうやっても完成させる事なんてできなくて
だけど手にしたそれは綺麗にミラーの色を揃えていた
会いにきてくれたんだって
泣かないって
噛み締めた下唇
急いでスマホを手にするとメールが一件
病院の連絡先と
一言
"約束破ってごめんね"
って
まだ飛行機の中だろうか
返信には"ありがとうございます"っとだけ入れた
それ以上の言葉を入れたら今すぐ日本に帰りたくなってしまうから
机に置いたままのデッサンブックを見て
これをオーナーのように具現化できるだけの自信を持てるように頑張ろうって
まだふらつく身体は久々に眠り過ぎたせいだろう
シャワーを浴びると回復した身体に素直にお腹がグーっとなる
開けた冷蔵庫にまた息がとまった
それを電子レンジに入れて
器に入れる
「いただきます」
目の前の湯気すら優しくて
口にしたそれははりつめていたものを一気に引きほどくように恋しくて
「おいしっ………です」
二宮さんが作ってくれた卵のお粥
何に言い訳をして彼と離れたのか
言い訳なんて本当はなくて
デッサンブックに描いたそれを私が気づくために必要なものだったんだって
涙に食べた卵のお粥はしょっぱくて…
甘かった
「っ…二宮さん」
今度貴方に会えたらこの夢の続きを聞いてください
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作者名：2-38
| 作成日時：2019年9月22日 9時
