彼のスーツを脱がす時８【NINO】 (ページ28)

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237.等価交換ページ28

馬車は

童話に出てきそうな素敵な造りで

小さな段差に彼が差し出してくれた手に掴まると

馬車に乗り込んだ

二宮「イギリスはどうだった？」

回り始めたメリーゴーランド

「聞いて欲しい事が山程あります」(笑)

時間にしたら多分数分にしかない時間に話すにはここでは話しきれそうにない

二宮「そっか…それならまたゆっくり聞こうか」

それを察してくれた彼は優しく目尻にシワをよせ笑う

「はい」

光の線を描いた背景が夢の世界から現実に引き戻すようで

メリーゴーランドがゆっくりと速度を落としていく

二宮「…さっきとった指輪持ってる？」

「あっ、はい」

二宮さんが輪投げにとってくれたオモチャの指輪をコートのポケットから取りだし

彼に渡すと

彼はそれを箱から出し、指先に持ちニヤリと笑う

そして回るメリーゴーランドが終わりを教えるように停まった時だった

彼が席を立つから私も立ち上がろうとした

二宮「Aちゃんはそのままでいて？」

そう言った彼は

「え？」

私の目の前にゆっくり

「えっ、にっ二宮さん、どうした………ん……です…」

王子様のように膝まづいた

二宮「Aちゃん？」

差し出された指輪はオモチャで

「はい」

二宮「等価交換」

それを彼は上目遣い悪戯な笑顔に私の左手の薬指にはめる

「はい？」

意味がわからない言葉に頭は真っ白なのに

薬指に

指輪というだけで視界がどんどん滲んでいく

二宮「俺の残りの人生あげるから…」

彼のその言葉の意味を甘い声にゆっくりと解き明かすから

二宮「貴女の残りの人生……俺にくれませんか？」

もう答えなんて１つしかなかった

二宮「…俺と結婚してください」

「っはい」

返事とともに彼の首の後ろに腕を回し抱きついた

二宮「おわっ」

私が急に抱きついたせいでバランスを崩しかけた彼

「ごっ、ごめんなさいっ」

慌てて身体を話す彼は何処かばつが悪そうで

でもその笑顔は幸せそうに見えた

二宮「よかった、コイツも報われて」(笑)

私の左手を持ち上げた彼は

「え？」

薬指に視線をむけるから、その言葉の意味もわからずただ嬉しくて自分の指を見た

二宮「まさか、オモチャの指輪に先越されるとはね」(笑)

「えっ……………ナンデ…こ…れ」

オモチャの指輪に重なるようにはめられた

華奢だけど存在感のある指輪

二宮「婚約指輪ってやつじゃない？」(笑)

彼は魔法使いではなくマジシャンなんだろうか