彼のスーツを脱がす時８【NINO】 (ページ27)

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236.記憶の上書きページ27

「二宮さん」

彼のその視線の意味に胸が苦しくなる

二宮「いや、普通にあるとは思うよ記憶にないだけで」(笑)

だけど彼は茶化すように笑うから

私もその笑顔に何も言わず笑った

「何から行きますか？」

移動式遊園地は日本の遊園地とは当たり前に違い小規模で

観覧車やメリーゴーランドの他にいくつかの乗り物があり

あとはゲームや屋台が出ている

まるでキラキラのおもちゃ箱の世界だ

二宮「あんだけ目立ってるし観覧車からいく？」

いきなりのエンディングな乗り物に

何だか二宮さんらしいなって思ったら笑いが堪えようもなく出た

二宮「え？何、何か変な事言った？」

「いえ、観覧車って最後に乗るイメージだったので」(笑)

二宮「駄目だった？」

「いえ、私も観覧車乗りたいです」

観覧車も一周するのに何十分もかかるようなものではなく

あっという間にそれは終わり

二宮「次は何か乗りたいのある？」

「お酒を飲んでるであまり高速なものは後が心配かもです」(笑)

二宮「そっか…………なら、ゲームは？」

「いいですね！」

ロマンチックな時間を期待してみたりしたけど

二宮「輪投げなんてまた古典的な」

「二宮さん得意そうですけど」

二宮「多分得意(笑)…何か欲しいのある？」

「それなら………あのウサギがいいです」

二宮「OK」

ゲームの輪投げに本気になってる彼を見たらそれはそれで楽しい

二宮「あっ」

「すごい！」

輪投げの輪がかかったそれは

ウサギのぬいぐるみ

の横にある何かわからない小さな箱だった

二宮「本当にいいの？」

「はい」

その小さな箱に入ったのは

イミテーションの大きなクリスタルがついた

オモチャの指輪だった

「これがいいです」

二宮「Aちゃんがそれでいいならいいけど」

「ありがとうございます」

不服そうな顔の二宮さん

だけど私は彼がとってくれたその過程があればそれだけでいい

「大事にしますね」

不意に流れてきた音楽は移動式遊園地の閉園時間を知らせるもので

輪投げもだけど屋台のライトはところどころ消されていく

二宮「あと、15分………あれにでも乗る？」

そう言って彼が見たのはオレンジの光に浮かび上がるように光ったメリーゴーランド

「そうですね」

閉園のアナウンスに帰る人達を避け
　

二宮「これにしよっか」

メリーゴーランドは馬に乗るのがメジャーなのかもしれないけど

私のドレスとヒールに気遣い彼は馬車を選んでくれた