226.家庭教師←10/13 ページ17
二宮さんは新しいプロジェクトに忙しさが増し
私も職人としての勉強以外にも経営についての勉強もし時間が足りないくらいだった
櫻井「今夜はこのへんにしておきましょう」
最近、櫻井さんがイギリスに来た時にはきまってくるこのカフェ
窓際のテーブル席がお決まりで
「お仕事だけでも忙しいのに本当にすみません」
経営にはほとんど無知だった私に櫻井さんが１から教えてくれる時間を作ってくれた
勿論、オーナーや日本に戻れば二宮さんに櫻井さんと頼れる人はたくさんいるけど、皆私以上に忙しい人達だ
それに…
櫻井「本当、社長とAさんは似た者同士だね」(笑)
ノートPCを片付けワインの追加をお願いしてくれた後今日教えてもらった場所を必死にまとめている私に不意に笑った櫻井さん
「え？」
櫻井「ハマったらとことん、きっと寝る間も惜しいぐらい…でしょ？」(笑)
店員さんがもって来てくれたワイン
話を中断させないようにと笑顔に視線だけに店員さんからワインボトルとオープナーを受け取ると
「はい」(笑)
櫻井「日本に戻ったら僕がサポートしますから、心配なく」
私と話たままに
スマートにコルクを抜きワインをグラスに注いでくれた
「すみません」
櫻井「でも、ここのお店を考えたら大野さんが落ち着くまでは経理なんかの経営は他に委託する事は考えないんですか？」
勿論、それがオーナーにも安心だし
私も自分の仕事に集中はできる
「日本…あのお店はオーナーの原点ですから」
そう、きっとオーナーはあまり他人にあのお店を触れて欲しくないんじゃないかって
「何とかオーナーが戻るまでは私が主人の留守を守らないと」(笑)
それも私の勝手な思いこみかもしれないけど
櫻井「…大野さんも愛されてますね」(笑)
「オーナーはずっと私の越えられない壁なんです」
越えようもないぐらい遠い存在だけど
「…ちょっと、違うかな」
きっと何もない場所で自分を見つけられるほど、私は自分がある人間じゃない
「ずっと追いかけたい背中なんです」
洋裁が好きだった母の影響で
洋裁学校に通い
そこに迷いは全くなかった
それに携わるような仕事につければいいなって漠然とした夢しかなかった私
だから
私とそんな歳のかわらないオーナーの展示会を見た時は衝撃だった
あれから学校を卒業すると弟子入りのような形でオーナーのお店に雇ってもらって
ある意味そこで私の漠然とした夢は叶えられた
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作者名：2-38
| 作成日時：2019年9月22日 9時
