彼のスーツを脱がす時７【NINO】 (ページ9)

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189.循環少数←8/22 ページ9

二宮「Aちゃん？」

彼に名前を呼ばれ自分が思わず笑っていた事に気付き、それに？マークな二宮さん

「いえ、櫻井さんともですけど小山さんといる時の二宮さんって何だか可愛いなって」(笑)

私といる時は余裕っというか

スマートに何でもこなしてしまうから

二宮「可愛い？」

大人の男性に言う事ではないけど

「はい」

可愛い以外に見つからない言葉

もしかしたら二宮さんにはいい言葉ではないかもって思ったけど

彼は私が予想していた反応とは全く違う反応をした

二宮「妬けちゃう？」

ニヤリと笑って

「へ！？」

意地悪に私の顔を覗き込む

二宮「図星だ？」

カーっとのぼる血にきっと顔まで赤くなっているであろう私の顔を持っていたエプロンに隠すと彼の笑い声が部屋に響いた

「エスパーですか、二宮さん」

妬ける

それは仕方のない事だけど

私の知らない二宮さんを小山さんも

そして櫻井さんも知っているわけで

芽生えた独占欲に大人げないと余計に羞恥に顔が熱くなった

二宮「Aちゃんのことならなんでもわかるよ」

ほら、やっぱり二宮さんはいつも余裕

二宮「…って言いたいところだけど、同じだから」

だけど聞こえた言葉に少しエプロンを下げて彼を見ると

「…同じ？」

何故だか恨めしい瞳に私を見る

二宮「うん…」

言いたくないのか言葉が続かない彼は

「二宮さん？」

反らした視線に襟足の髪を掻くようにクシャクシャっとすると小さな溜め息をつく

二宮「貴女と貴女のところのオーナー」

「え？」

二宮「妬けるくらいに仲いいでしょ？」

「それはっ」

私の言葉を止めるように抱き寄せられる身体

二宮「大丈夫、仕事上での信頼関係だって」

彼が言っている事に間違いは一つもないのに

何故か

あの日、クルーザーの上でオーナーから言われ言葉が耳の奥で聞こえた

引き戻されるように少しだけ離れた身体に

二宮さんは私の視線を簡単に捕まえる

その瞳は何処か悪戯めいていて

天をあおぐようにみあげると

まるで何かの答えを見つけたように笑う

二宮「それでもさ？まぁ…循環少数って感じかな」

「えっ…と？」

二宮「割りきれないってコト」

割りきれない感情

まさに私の彼への独占欲も頭でわかってても感情がそれをとめられない

二宮「Aちゃん？」

「私も櫻井さんや小山さんのように色々な二宮さんを見せてもらえるように頑張りますね」

二宮「…だからね？」(笑)

「え？」