59.70億の意味 ページ29
ストレートで柔らかそうに見えていた髪も
実は襟足は癖っ毛なんだっとか
耳の輪郭の後ろに小さなホクロがあるとか
普段なら見れないものがこの距離だとわかる今に胸ギュッて苦しい
これじゃ、仕事にならないと
彼に気づかれないように深呼吸をする
吐く息に全て熱がこもっているような気がして
自分の呼吸をセーブするのに息苦しい
ウエストはとても綺麗な位置にあって
身長の割に長い脚
ズボンの裾を見るために彼の前に膝まづき
完璧なシルエットににやける顔をおさえた
二宮「ねぇ…？」
彼の声に顔をあげると
二宮「それ…わざと？」
彼の艶やかな視線に簡単に囚われる
「…え？」
掬い上げられた顎に逃げようもない
二宮「そんな無防備に可愛い顔しないでくれる？」
少しだけ困ったように眉をひそめ
悩ましげな表情に私を見下げる彼
「二宮さ…っ」
私の言葉を止めるように彼は顎にそえた手をずらすと
二宮「限界なんだよ」
ゆっくりと私の下唇を親指の腹でなぞる
身体中に一気に電気が走って硬直する
二宮「…どう言ったら許してくれる？」
彼が私の前に膝まづき
「許すもなにも…」
両頬を包まれた
二宮「理由がなきゃできないなんてカッコ悪いね」
彼の深いため息に近づく距離
「そんな事っ」
ふっと優しく目尻にシワをよせた彼に最高潮に高鳴る鼓動
キスに理由があるならただひとつ…
焦らされた時間に心臓が壊れる
二宮「-98≒10log(1/(10^9*7))」
伏し目がちな瞳のままにわけのわからない数式を言う彼
「へっ？」
二宮「それが理由」
予想を反した理由に考えても答えなんかわかるわけないのに必死に考える
二宮「正解知りたい？」(笑)
数式と無邪気な笑顔に力が抜けた瞬間
「はい…」
彼の柔かな唇が重なった
馬鹿みたいにきっと目を見開いてるであろう私
彼は唇を重ねたままに伏し目がちな瞳をそんな私に優しく瞳を歪めると
そっと目蓋をおろし
頬を包んだ手を片方だけ後頭部に回すと
深く口づけた
胸がぎゅーっと苦しくなってその苦しさを逃がしきれず彼のワイシャツをギュッと掴む
そっと離れた唇
目蓋をきつく閉じたせいか開けた視界の先の彼がぼんやりと霞む
二宮「70億の中のただ1つ」
吐息にかかる艶やかな声
「70億…なんですか？」
再び重なる唇
キスの合間にくれた答えは私には難しすぎてわからない
二宮「…だから責任とってね」
「え？」
70億人の中貴女だけ…
世界中の誰よりも貴女だけが好きなんだ
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作者名：2-38
| 作成日時：2018年1月16日 10時
