58.メジャーで計れない距離←3/13 ページ28
二宮「ごめんね」
1分もかからずに部屋に戻ってきた二宮さん
「もう大丈夫なんですか？」
二宮「ん？」
私への気遣いなんだろうけど櫻井さんとのスケジュールの打ち合わせで二宮さんがどれだけ忙しい人なのかはわかるし
きっとこの時間も彼の唯一の休息時間で
「いえ、お仕事のお電話なのかなって」
私なんかといていいのかなって…
二宮「いや、仕事じゃないから大丈夫よ？」
いたずらっ子な笑顔
「それならよかったです」
何処か楽しそうなその笑顔に本当にお仕事の電話ではなかったんだろうとほっとした
二宮「俺はどうすればいい？」
広い部屋だけどホテルの部屋だけあって照明はリラックスできる明るさ
だけど作業には当たり前に不向きで
一番照明があたる場所へと彼を誘導する
「えっと…それじゃ、ここに立ってもらっていいですか」
バックから出した手帳とメジャーを出すと
二宮「いつも持ち歩いてるの？」(笑)
彼が驚いたように私の手元を見た
「え？」
普通の女の子はメジャーなんて持ち歩かない事に
二宮「メジャー」
彼の一言で気づいた
「はい…仕事場で使うやつよりかは小さいですけど」
二宮「さすがだね」
「いえ」
彼の目の前に立つと当たり前だけど心臓があり得ない速度で動き出す
平然に
そう思えば思うほど普段自分がどうしていたかわからなくなる
「…失礼します」
彼の襟元からスーツにしか触れないような圧で肩から腕へ腕から袖へと手を這わせ着たときに出来るシワを伸ばしていく
自分で奏でる衣擦れの音が妙に耳について
小さく息をはいた
「袖の長さ…左右ともバランス大丈夫そうですね」
二宮「何が正解かわからないけど不正解ではないよ」(笑)
当たり前だけどこの誤差がわかる人はほぼいない
「よかったです」(笑)
寧ろお客様に誤差がわかるなんてあってはいけない事だ
「上着…失礼しますね」
ボタンを外し
上着の合わせから手をすべらせ彼の肩からスルリとそれを脱がせると
ふわっと香る甘い香り
香水でもない香りは二宮さんの香り
人は香りで惹き付けられるって聞いた事があるけど彼の香りは蟻にとっての蜜のように
私にはとても魅惑的な香り
背中にまわり
彼の背後に立つとソファーにシワにならないように上着を置いた
普段は猫背な二宮さん
だけど上着を脱がせた直後だからだろうか
ワイシャツから肩甲骨のラインが伝わるシルエット
肩幅は見た目以上に実は広かったり…
彼の男らしいパーツに釘付けになる
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作者名：2-38
| 作成日時：2018年1月16日 10時
