彼のスーツを脱がす時 2 【NINO】 (ページ25)

今日:1 hit、昨日:1 hit、合計:862,541 hit

55.堅実さと欲望の狭間ページ25

そんな私の気持ちをまるでわかったかのように

彼は左手を後ろに出すから

なんのことかなんて直ぐわかるけど彼の顔を見ると

二宮「手」

ってたったその一言が魔法のように私の不安を溶かした

遠慮がちに触れた彼の手を

彼は人差し指を器用に絡めあっという間

俗にいう恋人繋ぎという繋ぎ方に手を握られた

ビックリしてまた彼を見ると

空いた方の手に顎をさすり指先に鼻をスンッとさせると焦る私を楽しむように悪戯に笑う彼

どのしぐさにもキュンっと胸が痺れてしまう

部屋の前に着くと昼にきた事を思い出す

あの時の私にはまさかこんな事が起きるなんて夢にも思ってなくて

部屋のドアをあける彼の肩を見るとこんなにも近い距離にいられる事に幸せを噛み締めた

部屋に入り

ドキドキが

ドッキンになって

ドックンと鼓動を大きく鳴らす

二宮「好きなものわからなかったから適当にコース頼んだけどよかった？」

昼にはなかった二人用のテーブルが窓際に用意され

「はい、そうしていただいた方が助かります」

綺麗にかけられたクロスにはフォークなどが既にセッティングされていた

コートを脱ぎ

「二宮さんのもかけますよ？」

ハンガーにかけると彼のコートをあずかりクローゼットにかけた

二宮「ありがとう」

その代わりなのか不慣れなような手つきをどこか楽しむように

二宮「どうぞ？」

セッティングされたテーブルの椅子を紳士的引いてくれた二宮さん

「ありがとうございます」

彼の視線は何処か他の人と違って

上手く言えないけど後ろにいるときも

そして私の向かい側に座り両肘をついた手に顎をのせ上目遣いに私を見る視線は

まるで何かを操るような視線で

二宮「ねぇ？」

この声色が重なると心が彼だけに占められる

「はい」

二宮「緊張してる？」(笑)

「してます」

二宮「俺も」

「うそっ」

二宮「なんでよ」(笑)

「それ…は…」

二宮「女の子とっかえひっかえしてそ？」

「そういうんじゃなくて…」

タイミングよくなった呼び鈴に入ってきた人達は私達の言葉を止めて料理の用意していく

深々と綺麗に頭を下げて出て行くと再び二人っきりになる部屋に彼は少しだけ困ったように笑った

二宮「意外に堅実だよ…今も正直どうしていいかわからない」

そんな事を言う彼が意外過ぎて

「え？」

少し間を置いて彼は部屋奥の開けられてない扉をジッと見た後

私が認識するのを待ってから唇を動かした

二宮「本能に従えば今すぐにでも押し倒したいから」