53.デート服の正解←2/24 ページ23
二宮「それじゃ、時間に迎えにくるよ」
「はい」
二宮「またあとでね」
「また、あとで」
タクシーを見送り
部屋に戻る足取りは酔ってもいないのにふらふら…
いや
ふわふわする
部屋に入ると玄関先に腰が抜けたように座り込んだ
嘘みたい
二宮さんが私を好きって…
彼女になってくれますかって…
ゆるゆるになった頬をおさえると熱くて
でもそれが幸せの証のような気がした
慣れないヒールに悲鳴をあげる足を解放させ窮屈な洋服を脱ぎ捨てる
一度シャワーを浴びて再びクローゼットの前に立つとそれまでスムーズに動いていたものがピタリと止まった
「…何着ればいいんだろ」
二宮さんはそのまま仕事が終わってくるだろうからあのスーツのままだよね
いくら部屋での食事だからって私だけ普段着もおかしい
っというより私の普段着はパジャマレベル
仕事にはテーラーとしての制服があるし
所謂よそ行きな洋服を持っていない事に気づいた
さっき脱ぎ捨てた洋服に目をむけるけど
お見合い用にと着たものを彼との初めてのデートできていくのもな
何とか手持ちの綺麗目なニットとAラインスカートそしていただきものの可愛いタイツを履いて
メイクに髪をユルくまとめる
イヤリングまでしてみたけど気合い入れすぎだろうか…
何がデートの装いの正解なのかもわからず悩んでいると
インターフォンが鳴った
慌ててモニターフォンまでいくと
二宮さんの横顔がモニターに映るのが見えて
たったそれだけの事に胸がキュンっと音を鳴らす
小さな咳払いをして深呼吸をすると
緊張する指先で通話ボタンを押す
「はい」
二宮「二宮です」
少しだけ照れたような尖った唇が愛しい
「今行きます」
コートを羽織
玄関先においたままのバッグを持つとマンションのエントランスへと急いだ
1階についたエレベーターから降りると直ぐに見えるエントランス玄関の自動ドア
ガラスのドアの向こうに
両手をポケットに入れ車に寄りかかりこちらを見ていたスーツ姿の彼と目があった
視線が合うと直ぐに優しく瞳を歪める彼に
今にも倒れそうだ
「すみません、お待たせしました」
二宮「服」
洋服には無頓着な人だから
「え？」
まさか会って直ぐに言われるとは思ってなくて
二宮「着替えたの？」
もしかして間違えたっと心配になったけど
「おっ、おかしいですか」
助手席のドアを紳士的に開いてくれた彼は
悪戯な笑顔に
二宮「いや、すごい可愛いから…」
私の心臓を壊す
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 2765人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：2-38
| 作成日時：2018年1月16日 10時
