彼女のルージュを落とす時１ (ページ26)

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25.モーニングキスページ26

ぼんやりとした意識

身体は疲れのせいか鉛のように重くて

でも

二宮「…Aちゃん」

撫でられた頬に

額に感じる冷たい唇の感触

「………んっ………………………ん？」

幸せな感情に目蓋を開くと

二宮「おはよ」

目の前には美しい人

「おはようございます」

何度この光景を見ても慣れることはなく

朝から心拍数があがる

そんな私をお見通しのように彼は無邪気に笑うと指先に乱れた髪を直し更に私の鼓動の速度をあげるような事を言った

二宮「花嫁さんはそろそろ支度しないと間に合わないそうですよ？」(笑)

その言葉に一瞬頭が真っ白になり

「え………えっ！？」

掛け時計に視線をむけると起きようと思っていた時刻をはるかにこえていた

二宮「小山さんが待ってる」(笑)

飛び起きて

「すみませんっ」

ベッド横にかけてあったガウンを急いで着る私とは正反対に

二宮「早く起こしてあげようとも思ったんだけど疲れてるだろうし、今日は一日長いから」

二宮さんはベッドに腰をかけたまま慌てる私を楽しむように見ていた

「小山さんに直ぐに行くと伝えてください！」

二宮「メイクも向こうでするからシャワーだけ浴びたら下におりておいで」

「はい」

もう

最悪！

何が最悪って主役であろう自分が朝寝坊だなんて

自己嫌悪に何とか間に合わせた支度

「すみません、小山さん！」

階段をかけ降り

リビングに行くとキッチンで紅茶を用意してくれた小山さん

小山「おはようございます」

余裕というか二宮さんとはまた違う飄々とした人だなって

「おはようございます」

リビングを見渡すと小山さんと私だけ…

「二宮さんは？」

小山「仕事を１つ片付けてから向かわれるので先程室長と出られました」

二宮さんは仕事があっても私より早く起きてでかけている

「そう…なんですね」

それは小山さんも櫻井さんもで

私なんて比較にもならない程に忙しい人達が出来て何で私ができないのか

小山「大野さん、大丈夫ですか？」

「えっ」

小山「いえ、お疲れがとれていないようなので」

「大丈夫です」

小山「今夜はフライトが長くなるのでゆっくりお休みになれるかと思いますよ」

″フライト″

「…はい」

″ハネムーン″

実は私は今日の今日まで新婚旅行先を知らない

着るものも含め準備もあるから教えて欲しいと二宮さんに

そして櫻井さんにも小山さんにも教えて欲しいとお願いしたけど

準備はこちらですると言って全て笑顔でかわされた