私が生き延びてしまったら ページ21
あのあと少しだけ大変だった。
悟と傑にはこれでもかと過保護に接され、硝子はベッタリ。
任務の際も誰かしらの監視がいつも付きまとった。
今の星漿体護衛任務だってそう。雑魚を蹴散らしながら上空の傑へ気を配る。近くには悟がいてQとかいうくそ雑魚で遊んでいた。
「にしても、本当に死ぬ気なくなったんだな」
「それ、前も似たようなこと言わなかった?」
「あー?いちいち覚えてねーよ。それより後」
後ろから空気を割く音がして振り向くことなくそれを掴む。しかし、力を誤ったのか鉄の塊は手の中で粉になった。
「ありがとう」
「相変わらずゴリラな」
「それ私以外の女子に言ったら殺されるよ」
「返り討ちにできるわ」
そういうことじゃない。
ソーセージ共を蹴り飛ばし、ナイフの欠片を粉塵になるまで砕き目潰しにする。
術式を使うまでもない。アドバンテージは二人がいる時点でこちら側にある。
たった一人の女の子を守るだけの簡単な任務。
のはずだった。
何故か最強2人は星漿体━━天内理子ちゃんの願いから沖縄の海を満喫している。
パラソルの下で黒井さんが買ってきてくれた水着を着たものの、私は泳いだことがない。そもそも海が初めてだ。
「あっつ…」
空港の本屋で買った文庫本を読みながら周囲への警戒を怠らない。
「おいA、お前も入れよ!」
「気持ちいいよ」
「そうじゃそうじゃ!」
「ちょっと、私はいいって……うっわ!?」
三人に思い切り引っ張られ、バランスを崩した体は海へ浸かった。一気に恐怖が心を蝕む。水は嫌い。かけられるのも、沈められるのも、押さえつけられるのも。頭の中で、母の面影がチラつく。
私の意思とは別に、手が勝手に震える。その手を握ってくれたのは、傑だった。
「すぐ、」
「つめてー!」
「黒井!写真じゃ写真じゃ!」
傑の方を見る。脳裏にあった母の影は消えていた。
「ね、気持ちいいだろ?」
「ははっ、悪く無いかも」
手の震えも、いつの間にか止まっていた。
「ご飯終わったら呼んで。外見てる」
「おう。暇潰してこい」
Aを見送り、頼んだソーキそばを待つ。向かい側に座るとこに天内がソワソワとAが歩いていった方を見ていた。
「のう、何故Aは何も食べんのだ?」
「Aは術式の関係上、食事が出来ねーんだよ。安心しろ、倒れたりしない」
嘘も方便。星漿体のコイツが今心配するのは自分と黒井さんのことだけだ。
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ゆめ - 好きです!!もう泣きそうになりました泣 続き待ってます (3月31日 12時) (レス) @page47 id: 11bb5a386d (このIDを非表示/違反報告)
なっちゃん - 今まで見てきた夢小説の中で一番面白かったです!更新楽しみにしてます!! (2022年9月11日 0時) (レス) @page43 id: 0018f60a50 (このIDを非表示/違反報告)
黎明(プロフ) - すごい面白いです見てて泣きそう… (2022年4月7日 2時) (レス) @page41 id: fef02b0b38 (このIDを非表示/違反報告)
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