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もし ページ20

「うん。脳波計も正常。心拍も問題なし。健康良児」


異常なほど正常値だ。
Aに検査結果の紙を渡す。


「さすが中途半端でもフィジカルギフテッド。筋肉は衰えてないし、すぐ復帰かな」


自嘲混じりの返答にクズ2人からのメールを返す。
道中色んなのを破壊しないといいんだが。


「どうかな。暫く単独は無理だと思うぞ」


クズ2人含め私が引っ付くからな。
Aの処置ははっきり言って面倒くさい。死なないで欲しい本音7割と前者の3割が拮抗して力任せにタバコを吸った。


「なんでよ。私もう死ぬ気ないのに」


タバコを挟んでいた指が止まった。
なんて言った?もう死ぬ気がない?本当に?


「…心変わりか?」

「んーん。寝てる時にね、夢だけどお母さん殺したの。そしたらスッキリした」


マザコンと言って過言ではないこいつが夢で母親を殺した?
現実で殺したわけじゃないのに、眠る前までのあの破滅願望と希死念慮がもう無いと言った。
改めてAの顔を見る。今までで1番、肌ツヤも良く目は以前に比べ澄んでいる。
犬のように首を傾げこちらを見つめる様に不思議な笑いが込み上げてきた。


「ふふっ、ははは!やっぱA、イカれてる」

「呪術師なんてみんなそうでしょ?」


あぁ、本当にもう死ぬ気は無いのか。
安心した瞬間、スピーカーがアラートを鳴らした。
同時に校庭から爆発音がして校舎に伝った衝撃波でふらついた私をA が支える。


「これ、呪霊発生のアラートだよね」

「夏油が出先で取り込んだのを使ってそのまま帰ってきたんだろ」

「うわっ、先生の説教確定だ」

「見物行く?」

「もちろん」



飛んできた拳骨に、並んだ正座。
いつも通りの私達の光景に腕を組んで見下ろす担任は端的に理由を聞いてきた。


「で、道中を無限で破壊し、登録していない呪霊で帰ってきたのはなにか正当な理由があるんだろうな」

「先生、私達はただ、長く寝ていたクラスメイトが起きたって言うから文字通り飛んで帰ってきたんですよ。なぁ、悟」

「そうそう!早く顔見に行かねーとまたながったらしく寝ちまうかもしんねーし」


悟の野次に担任がまた拳を握った。
やめろ、私にまで飛び火する。と思った次の瞬間、教室の扉が音を立てた。


「夜蛾先生ー、先程ぶりです。おはようございます」

「はぁ、あと三日起きなければ留年だったぞ」

「すいません。あ、てかもう寝ねーよバカ」


そこには悪態を吐きながら、子供のように笑うAが居た。

私が生き延びてしまったら→←追伸



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ゆめ - 好きです!!もう泣きそうになりました泣 続き待ってます (3月31日 12時) (レス) @page47 id: 11bb5a386d (このIDを非表示/違反報告)
なっちゃん - 今まで見てきた夢小説の中で一番面白かったです!更新楽しみにしてます!! (2022年9月11日 0時) (レス) @page43 id: 0018f60a50 (このIDを非表示/違反報告)
黎明(プロフ) - すごい面白いです見てて泣きそう… (2022年4月7日 2時) (レス) @page41 id: fef02b0b38 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ビーツ | 作者ホームページ:http:/  
作成日時:2021年3月12日 23時

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