貴方の優しさに甘えていました。貴方は人を神聖視し過ぎている。だから、気をつけてね。 ページ13
「おい!A!」
荒々しく扉を開けると驚いた顔をしてAと目が合った。
部屋を出るところだったのか、目の前で鳩が豆鉄砲くらったかのような顔をしている。
その手にはいくつかの封筒が握られていた。
「悟、おかえり。早かったね」
「お前、単独任務、許可されたってほんとか」
「うん。同時に三人から私への監視も解除だって」
単独任務許可、監視の解除、ということは学長や俺達を通さず、補助監督から直接任務を与えられる。
俺達も学長もその内容を知らず、Aは外を自由に歩き、死ねる。
「お前、死ぬ気だろ」
「ノーコメント。それよりこれから面談だからそこどいて」
隙間をくぐろうとしたAを腕で制す。
「いやだね」
「は?」
「お前、まだ普通じゃねぇから。普通になる前に何死のうとしてんだ?」
「うるせぇよ。最強だかなんだか知らないけど、悟の人生に私は関係ねーだろ」
怪力の腕が首を捉えようと伸びてくるのを無限で止める。
そこで隠れていた封筒の文字が見えた。
紛れもない『遺書』の二文字に思わず舌打ちが出る。
「卑怯者」
「はっ、それはてめぇだろ。俺や傑はともかく、硝子はどうすんだよ」
「硝子には、歌姫さんが居る。私は要らない」
ブンっと空気が唸った。
Aの術式だ。
呪霊以外に滅多に使うことの無いそれをAは俺に向かって放った。それは通り過ぎ、扉を巻き込むと後ろの壁に深い傷をつける。
「……勝手にしろ」
扉の取れた入口から離れ、一人廊下を歩く。イラつきが溜まり、冷静な判断が出来ない。
「悟」
後ろから声がした。何だ、説教か。破滅願望者から何を聞きゃいいんだか。
立ち止まることも無く、俺は女子寮を出た。傑に今日は夜中までゲームを付き合ってもらおう。
悟、怒っただろうな。
せっかく書いた遺書も読まずに捨てられるかも。
まぁ、それならそれでいっか。
「失礼します」
「来たか。調子はどうだ」
「可も不可もなく、いたって普通です」
「それは結構…晴れて単独任務が許された訳だが、なにか質問はあるか」
「いいえ。特には」
「そうか…お前に渡すものがある」
そう言って先生がくれたのは真新しい学生証。
酒を経ち、少し顔に肉が着いた時に改めて撮った証明写真がプリントされている。
以前まで特級保留だった欄には、特級と印字されている。
「おめでとう。特級呪術師、AA。活躍を期待している」
「ありがとうございます」
さとるは、いつも私を生かそうとした。呪術界の未来の為に。応えられなくてごめんなさい→←すぐるへ。気づけなくてごめんなさい
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ゆめ - 好きです!!もう泣きそうになりました泣 続き待ってます (3月31日 12時) (レス) @page47 id: 11bb5a386d (このIDを非表示/違反報告)
なっちゃん - 今まで見てきた夢小説の中で一番面白かったです!更新楽しみにしてます!! (2022年9月11日 0時) (レス) @page43 id: 0018f60a50 (このIDを非表示/違反報告)
黎明(プロフ) - すごい面白いです見てて泣きそう… (2022年4月7日 2時) (レス) @page41 id: fef02b0b38 (このIDを非表示/違反報告)
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