私の幸福理論 (ページ3)

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2話ページ3

学校が終わり今日は特に何も用がなかったので1人で家に帰っていた。

夏が始まりどんどん気温が上昇していく。

もうすぐテストだと思うと憂鬱で仕方がない。

まぁ考えたところで仕方がない、それより速くあのクーラーの効いた部屋に引きこもりたい。

そう思い私は足を速めた。

家につき勢いよく玄関をあけ、中にいるおばあちゃんに「ただいま!!!｣と叫ぶ。

「｢おかえり〜｣」

『え？』

帰ってきた返事はおばあちゃんの優しい声だけではなくよく聞きなれた声。

茶の間の戸を恐る恐る開けると、そこには大好きなおばあちゃんとそのおばあちゃんの肩を揉んでいる金髪のよく見なれたヤンキーがいた。

『不良がおばあちゃんの肩揉んでるとかシュールだね』

｢おかえり〜A！」

『うん、ただいま。で？なんでいるの???』

｢え？ここ俺んちだろ？｣

『違うよ???ここ私とおばあちゃん家だからね???』

｢もう何回も来てんだから俺ん家だろ？｣

『全部勝手に上がってくるよね万次郎。……おばあちゃんも万次郎のが勝手に上がってたら注意してよね!!それか鍵かけよう???』

｢え〜Aひどーい｣

『それが普通。ここ他人の家、君不法侵入。』

｢いいんだよAもう万ちゃんは私の孫だからねぇ。｣

｢ほらばあちゃんもそう言ってるじゃん！｣

『おばあちゃん!!!』

もういいや考えるのを放棄する。

昔からおばあちゃんは近所の子供達に甘かったなぁ。

そう思い私はおばあちゃんの隣に座る。

｢なんでAそっち座るんだよ！俺の隣空いてるぞ！｣

『え〜遠い』

｢たった一二歩歩くだけだぞ!!｣

『万次郎が来てよー』

そう言うと万次郎は立ち上がり私の隣に座る。

そして私の肩に頭を乗せグリグリと擦り付ける。

熱いけどそうやって甘えてくる万次郎を突き放したりしない。

万次郎は昔から甘えてくるタイプだったけど、真一郎くんが死んでからそれが頻繁に起こるようになった。

きっと大好きなお兄ちゃんが死んで寂しいのだろう。

だから一つ年上の私にこうして甘えてくる。

こうやって万次郎が不法侵入する時はだいたいは私に甘えたい時だ。

万次郎の頭を優しく撫でる。

時々ふと見える万次郎の未来。

いつも大量のノイズがかかっているから凄く遠い未来なんだろう。

でも一瞬見える映像には万次郎の周りに誰もいなくて必ず万次郎の目は光を無くしている。

そんな未来はきっと幸せなんかじゃない。

私がこの子を守るんだ。

真一郎くんの分まで。