壱話 驚愕 ページ2
視点・炭治郎
その日、俺は何時も通り町を歩いていた。
「禰豆子ー大丈夫か?」
「んむー」
箱の中にいる禰豆子の返事を聞いて、俺は更に歩き続ける。
と、その時だった。
「……ねぇ」
「?はい?」
後ろからの声に振り返った俺が眼にしたのは黒色の少女だった。
いや、肌が黒い訳ではない。寧ろ白い。
着物が、髪が、肌と瞳以外の全てが_黒いのだ。
「貴方が……竈門炭治郎?」
「そうですけど?どうしましたか?」
そう、と呟いた少女は背中にある不似合いな筈なのにやけに馴染んでいて少女をかたどっている刀に手を伸ばす。
__何だ?
俺がそう思った時だった。
彼女は、刀を、抜いた。
__それは、日輪刀だった。
何の気負いもなくしかし正確に刀を少女は俺の背後に振り下ろした。
「っあ?!」
彼女の目的を悟った俺はとっさに刀を刀で受ける。
少女は追い討ちをかけるでもなくあっさりと引いた。
そう、不自然なほどにあっさりと。
「なっ、何するんだよ?!」
「鬼は害悪。だから滅する。常識」
俺の問いに対して少女はそう応えた。
コイツ箱に禰豆子がいることを知って__?
「もー姉ちゃん。駄目じゃんか。怖がってるだろ」
後ろからひょこっと現れた少年。
彼は少女と違って瞳と髪以外が全て白かった。
__臭いが感じられなかった?!
「……この程度で恐怖するとは笑止千万」
「あっ、義勇の真似だ!」
「……正解」
俺の警戒もよそに二人は仲良さげに話している。
え、何々?何なの?
「……怖がらせた。ごめんなさい。貴方の腕前を、確かめたかった、だけ」
途切れ途切れに言って少女は頭を下げた。
「ははっ。姉ちゃん無愛想だから分かりづらいだろうけど、これでも本気で謝ってるんだ。俺、
ほら、姉ちゃんも!
肘で千白にせっつかれて少女は口を開く。
「……
「あ、お、俺は知ってると思いますけど竈門炭治郎って言います!よろしくお願いします!」
慌てて勢いよく頭を下げる。黒百合さんは少し後ずさった。
「……ん。敬語じゃなくていい。私達のが年下」
「え、ええええええっ!」
俺の絶叫に黒百合さん__黒百合は嫌そうに顔をしかめた。
皮肉な事にそれが、俺が始めて見た彼女の表情だった。
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作者名:まっころん x他1人 | 作成日時:2019年8月31日 11時