にじゅう！ ページ44
俺は三上悟!大手ゼネコン勤務のごく普通のナイスガイだ。
そんな俺が家に帰る途中、公園を覗くと……
いや、別に久々にブランコ乗りてーとか思った訳じゃないんだけれども!
女の子がいた。
しかもその子は制服のままブランコに腰掛け、遠くを見ている。
俺は先客に声をかけることにした。
「ヤアお嬢ちゃん。どうしたんだ?」
テンパりすぎて少し声が裏返った。
少女はあからさまに肩をはねあげてばっと立ち上がる。
「あ、いえ、その、さようなら!」
思わず腕を掴んだあと、しまった!と思う。
これじゃただのロ〇コン不審者じゃねーか!
そんな懸念もすぐに消えた。
少女のやけに大人びた美しい顔に見とれた訳じゃない。
腕を掴まれた少女が「痛っ!」と声をあげたことじゃない。
彼女の体は傷まみれだったのだ。
火傷の跡、痣に、切傷。
スカートからのびる真っ白な足にもそれはついていて、それが少しなまめかしく見えて俺はごくりと唾液をのんだ。
「君……どうしたんだ？」
「……」
「家に帰らないのか？」
「……」
少女は無言だったが家と聞いた瞬間顔をはねあげた。
その表情は帰りたくないと訴えていた。
「…………ついてきな、手当と泊めるぐらいはしてやるよ」
「いえ！私、野宿で……あっ」
慌てて口を押さえた少女を問答無用で家に連れ帰る。
流石にもう騒いでも無駄だと悟ったのか、少女も大人しくついてくる。
野宿で、じゃねーっての！年頃の女の子がそんなことするもんじゃありません！
と怒りたくなったがぐっと我慢する。そんなことは後で良いのだ。
家に連れ帰り、手当をしながら事情を聞くと、どうやら、虐待されているようだ。
彼女は泣くこともなく、表情が抜け落ちたような顔をしていて、死んでもいいと思っているのが伝わってきた。
それが痛ましくて言葉を見失った。
とりあえず名前を訊く。
「…………雪白、百合です」
「そうか、俺は三上悟だ！よろしくな！」
「は、い」
ふははは、不本意だろうが俺に拾われた時点でアウトなのだよ君ぃ！
大人しく俺に世話を焼かれたまえ！
心の中で悪人よろしく笑っていると、腹がなった。
俺じゃねーぞ？
少女が顔を真っ赤にしてうつむいている。
あー、うん。そりゃなぁ。
「腹へったな！よし、なんか作るか！嫌いなもんとあるか？」
「え？あ、ない、です……」
すっかり大人しくなった少女は素直に答えた。
よしよしとうなずきながら俺は飯を作る用意をした。
少女も手伝ってくれて、いつもよりスピーディーに出来上がったのだった。
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まっころん(プロフ) - あおさん» ありがとうございます！今は諸事情により更新を停止している状態ですが、待っていていただけると幸いです！ (2020年8月6日 22時) (
レス) id: e0298bbebe (このIDを非表示/違反報告)
あお - 面白いです。応援してます。 (2020年8月6日 19時) (レス) id: af729b494b (このIDを非表示/違反報告)
まっころん(プロフ) - 申し訳ありませんでした。すぐに移動させてもらいますね！ (2019年9月14日 15時) (レス) id: e0298bbebe (このIDを非表示/違反報告)
ココロノオト(プロフ) - はい！すみません！ (2019年9月14日 11時) (レス) id: 02837942e8 (このIDを非表示/違反報告)
グリノワ(プロフ) - あの、コメント欄で会話をされると、占いツクール自体に負担がかかるのでボードに移動してもらってもよろしいでしょうか？お楽しみのところ申し訳ありませんでした。 (2019年9月14日 11時) (レス) id: 542ea26681 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：まっころん x他1人 | 作成日時：2019年6月30日 20時
