7 夏油 ページ9
「微妙なところだが、理由を伝えれば快く時間を取ってくれるだろう。連絡してみるか?」
「....いいえ、大丈夫です。ほとんど報告書にのってるものの確認みたいなもので。もし今も呪術師続けてるなら、と聞いてみたんです。」
「なるほどな。」
「その人ですか。写真の。」
夏油は夜蛾が見ていたデスクの写真に視線を向けた。
夜蛾と、女子2人、男子3人が笑顔で映っている。その中で唯一見覚えある生徒の顔は、女子2人のうち片方、庵歌姫だろう。その隣に並んでいる、背の高い女の子が、きっと前任者の術師だろう。
切り揃えられた、所謂ぱっつん前髪とまっすぐな長い黒髪。
全身が映る写真で顔が鮮明とは言えないため、あまり断言できないが、結構濃い目のアイメイク。
制服はスカートタイプではなくハイウエストのワイドパンツで、サイドにスリットが入っている。歌姫の身長が変わってないと過程して、彼女の履いてるブーツのヒールが7cmくらいだとする。それでも彼女自身は170cmほどあるだろう。華奢で童顔な歌姫と並ぶと、どうしても彼女の方が大人っぽく見えてしまう。いや、並ばなくても、彼女は年不相応に見えてしまうことだろう。
夏油自身もよく年齢より上に見られるため、少し同情してしまう。年齢が上に見られることは役に立つが、言われすぎると心情的に来るものがある。
そしてこれは純粋な下心であるが、写真で見る限り、彼女の顔やスタイルは夏油のタイプど真ん中であった。
個性的なスタイルで清楚とは言い難いが上品で色っぽい。この人があの達筆な字と文章を書いていたと思うと、なお良い、と思う。
呪術師であればいくらでもアプローチの機会があったんだけどな。なんなら連絡を取って貰えば良かった。
などと自分の言葉を後悔するものの、今は任務が重なり予定を合わせるのも億劫だ。
「あぁ、この子だ。この通り、大人びた容姿をしているが、優しく温厚で、真面目な子だ。」
「そうなんですか。」
珍しい。夏油はそう思いながら目を細めた。
夜蛾は基本、多くを語らない人物である。彼女に何らかの未練があるに違いない。大方、彼女が呪術師をやめた理由といったところだろう。
後日、偶然会った歌姫にそれとなく彼女のことを聞くと、聞いてもいないことをべらべら話はじめた。
そういうところですよ、悟にちょっかいかけられる理由は。と思いながら、もちろん言わない。ラッキーと言わんばかりに笑顔で歌姫の言葉を聞き続けた。
367人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「呪術廻戦」関連の作品
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作成日時:2021年7月22日 22時