降谷姉の囚われの日々【降谷零】

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Aside



さて、どうしたものか。



「…恥ずかし」



今思うとめっちゃ恥ずかしいこと言ってたな、私。よく言えたもんだ。真顔で、しかも抱きしめて。1日目にキスされた相手にすることじゃない。でもなんだか放っておけなかったんだ。
…お人好し、なのだろうか、私は。

彼はついさっき出ていった。仕事なんだと。
この家……というか多分ここはマンションかアパートの一室。階段がないけど窓の外は川があってその先にはよくみたビルが立ち並んでる。
恐らく東京だ。

ドラマの撮影でこの川、来たことがある。

日本にいる、それだけで安心感があった。
よかった…故郷だ。

でもこの家にずっといるわけにはいかない。
できるだけ早く、彼を逆撫でしないように怒らせないように出なければならない。


そして早く__________




「会いたい…会いたいよっ_____」



窓の向こうのどこかに彼らがいる。

彼らのいる米花町に、コナンくん蘭ちゃん毛利さん少年探偵団のみんな…



それと、沖矢さんに、零くん。




早く会いたい。会って
「ただいま」
って言いたい。



気づいたら薄いレースのカーテンを握りしめて泣いていた。
この時、私は喪失感をやっと感じたのだ。



だがうじうじ泣いていても仕方ない。
とりあえず、テレビをつけた。外の状況を知るにはいい手段だ。まぁこれしかないのだけど。




「…あー」




早速つけた番組はお昼のニュースだった。
画面に出てきたのは私の写真。




「警視庁から公表がありました。やはり、先日のシンガポールの海賊の事件に女優、泉谷Aさんが巻き込まれ行方不明になったとのことです。警察はシンガポール警察に協力を_____」




あちゃー…ニュースに出ちゃってる。

やばい、本格的にやばい。
すみません、泉谷はここにいます。しかも貴方達がいる放送局がある東京にいます。
そうやってテレビ放送できたらいいのに。できっこないけど。



「…どうしよ」



画面に向かってため息をついた。

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