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Aside



ぼーっと、ジンを求めてたらいつの間にか夜になっていた。



ドアノブが動く音が静寂な部屋に響く。



「ジンっ…!」



急いでジンに抱きつく。
いる、ここにいる。



「……寂しかったのか」



「……うん。」



変に瞼が熱い。
泣いてたのか、私。
全然気づかなかった。



赤い目を腕でこすり、ジンを見上げる。

ジンはいつか見た苦虫を噛み潰したような表情をしていた。



「………お前が悪い。」



「えっ………ぁ」



キスされてる。

玄関先で唇を貪られ、生理的涙が頬を伝う。




「なぜ、泣く」



「わかんな…っ……わかんないっ…」



嬉しい、のか。


はたまた悲しいのか。



ジンに抱きしめられて、キスされて嬉しいはずなのに、私の心の喪失感は消え失せない。

あのタバコの匂いが忘れられない。



そしてタバコよりも、何より大事なものを私は、思い出していない気がする。
私は気づいたらジンの胸板の服を掴んで縋っていた。
私を愛してくれてるジンなら、きっとわかるはず。



「何かが…ない気がするの……ジンがいれば十分なのに悲しい気がするの……


ジンっ…どうすれば」



ヒュッと息が詰まった音がした。
ジンの目は真っ暗だった。

怒り、憎悪、切なさ、そんなものが入り混じっていた。
零れ落ちていた涙が唐突に留まる。




「_____お前には、俺がいればいい。


だったら、喪失感なんぞくだらねぇものは感じねェだろうが」



「ジ、ジン…?」




ジンが怖い。
すきなのに、怖いと感じている。
ジンは独り言のように言葉を続けた。



「薬を使った俺が悪いってのか………?

手段を使ってもお前は俺に落ちねェのかよ。

あー…そうか、そうかよ」



薬…?どういうこと…?




「痛ッ!」



ジンに腕を掴まれ、寝室に連れ込まれる。

ベッドに乱雑に投げられ、痛みを感じる前にジンが乗ってきた。



「________お前は俺のものだ」



「ひっ……やだ、やだやだやだ!!

ジン!!
すきだから…すきだから!!_____ンっ」



ジンが口に錠剤を含み、顔を近づけ、私の口をこじ開ける。
飲めと言わんばかりに錠剤を喉に押し付けられ、苦しくて素直に飲むと体を舐めるように触られた。

一体、どれだけの量を飲んだんだろう。

肌を伝う手が冷えていて気持ちいい。



「…ぁ、あ、……あ」




______ _ _ …

翌日の朝、声が枯れていた。

いつもならいるはずの私の横にジンはいなかった。

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しのはら(プロフ) - 明里香さん» また後日直します。わざわざありがとうございました。 (2019年6月15日 20時) (レス) id: 7f2dfd99c3 (このIDを非表示/違反報告)
明里香(プロフ) - 137話にも誤字がありました。「息の根を引き取った」ではなく、「息を引き取った」です。 (2019年6月15日 18時) (携帯から) (レス) id: 85d4df75a2 (このIDを非表示/違反報告)
明里香(プロフ) - 136話に誤字がありました。「本人に入ってない」ではなく、「本人には言ってない」です。 (2019年6月15日 18時) (携帯から) (レス) id: 85d4df75a2 (このIDを非表示/違反報告)
しのはら(プロフ) - ゆーきさん» なぜに笑すきだと言ってもらえるととても嬉しいです!ありがとうございます(^-^) (2019年6月3日 23時) (レス) id: 7f2dfd99c3 (このIDを非表示/違反報告)
しのはら(プロフ) - 明里香さん» 明里香さんたくさんのご指摘ありがとうございます。降谷姉の会えない日々、×されない日々はすぐに直してきますが、囚われの方は更新と一緒に直します。多く間違えててすみません汗 (2019年6月3日 19時) (レス) id: 7f2dfd99c3 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:しのはら | 作成日時:2019年5月25日 7時

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