降谷姉の囚われの日々【降谷零】

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Aside




ジンはとっくのとうに出て行った。
朝から頭がぼーっとする。

なんでかな…身体はふわふわと軽いのに、あの人が起きたら目の前にいて幸せで浮かれてるのに頭はぼーっと働かない。




「……」



机に置いてあるまだ新しいタバコの箱を見つめて、手に取ってみる。
なんとなく火をつけて、吸ったこともないくせに吸ってみた。



「ゲホッ……苦っ」



この匂いじゃない…。ただ吸っても煙るだけのそれを早く灰皿に押し付け、少し浮かぶ白い煙をみた。

銘柄が違う気がする。

彼はもっと温かく、でも苦いそんな香りを纏っていた。

これじゃない、これじゃない。




「ヴッ……ァ…」




だれ、だれだれだれ！？！？

思い出したい、思い出せない、頭が痛い。



記憶の扉はすぐそこにあるのに、こじ開ける事ができない。



でもそれよりも、



「ジン、ジン……」



会いたい、会いたい…私のこの心の穴を埋める事ができるのはジンだけ…


こんなジンだけを求めるどうしようもない私。





だってジンしか知らない…私はジンしか知らない…



ジンだけが今の私を愛してくれている。




そう…ジンだ………け__________。









耳に響いたのは窓の向こうの港から船が出る音のみ。





私の中でもう一度、ひび割れた音がした。





____ _ _ _ _ _ _



1回目のひび割れた音がした話数は101です。
気になる方は戻ってみてきてください。

ひび割れた音→降谷姉の精神が崩れている様子

だと思ってくれれば分かりやすいと思います。ただのわかりににくい比喩です。



そしてこの先の113ですが、お気をつけください。成年向けにはならないよう書きましたが、若干の描写があります。苦手な方は飛ばして読んでください。
基本暗めです。

113→←111

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