抱き寄せて愛して 3 【緑】

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「なんで…んー

一人で黙々と倉庫に籠って作業してるのを気づいて
周りの人にあの子知ってる？って聞いても皆知らないって言っててさ


……なんか助けなきゃって思っちゃったんだよね」



阿部の言葉は昔のあの子を思い出させた。
倒れた時に初めて気づいた。

誰も倒れるまで気づかなかった。

バイトも真面目で学校も真面目で
優等生なのに1人になるところがあった。

その1人になる時不安になる事もあった。
あの子はほんと風のように急にいなくなりそうで
誰にも自分が大丈夫じゃない所を見せないから

でも、


「阿部なら、Aさんを守れるね」

「急にいなくなりそうなんだよね？」

「うん。」

「それは変わらないよ。
だけど、絶対にあの子が笑って過ごせる未来を俺は作っていきたい」


良かったね。
もう、あの時1人で我慢して「大丈夫」って言ってた君じゃないよ。

君を守る人がそばに居るから

大丈夫だよ



「…プレゼントを作るよ。ちょっと待ってて」


「え！？いや、お金は」

「いいよ。俺から2人へのプレゼントだから」



自分で送りたい人を思って作る花束

バラやカスミソウにガーベラなど綺麗な色合いの花を丁寧に包装する。


ふっかの時もこうやって作ったな
　

ちょうどふっかが取りに来た時に店にお客さんとして来てた。

いい花束ですね。と言った彼女

　

次は、君が幸せになるんだよ。


言葉にできない思いを花は表してくれる。


今の阿部ちゃんとAさんに合う花束を作ることが
1番のプレゼントかもしれない。













部長の件もあって仕事に行くのが嫌になっていた。
頑張らないといけないのに

ソファーに座ってどうしようと考えていると玄関の扉が開く音がした。

阿部さんが帰ってきたんだ

立ち上がり玄関の方に行く


「おかえり…なさい？」

「ただいま」

「どうされたんですか？その花束」

「ん？はい。どうぞ」


綺麗な花束

私に渡してきたので受け取る。


久しぶりに花束を見た。



バラにカスミソウ、ガーベラにスターチス、カーネーション

アネモネにスズランやラナンキュラス

そして、ミモザ


…まるで


「結婚式のような花束ですね」

「え？」

「感謝や幸福、愛

凄い私愛されてますね」


花達の花言葉が分かり照れてしまって笑みが溢れる。


この花束…舘さんが作る花束に似てる。

綺麗な色合いで凄い暖かくて


「…花束って凄く心を暖かくしてくださるんですね」


花束ってこんな気持ちになるんだな

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