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「え？他の人ここに来ないの？
…まったく、新人さんをこき使い過ぎだろ」
後半の阿部さんの声は少し低かった。
「でも、大丈夫ですよ。
私慣れっこですし。
それに…私今年で辞めようって考えてるので
もういいんです」
資料を棚に並べながら話すと「ぇっ」っと声が聞こえた。
吹っ切れたら少しだけ楽に仕事ができるようになったからもう良いと思っていた。
この薄暗い冷房機器もないこの部屋で社会人を過ごすよりも自分で新たな職場を探した方が良いのではと考えたからだ。
ガタガタと音を立てながらダンボールから書類を取った時ダンボールを持っている阿部さんが呟いた。
「俺のところに来る？」
「…え？」
顔を上げると阿部さんが真っ直ぐ私の方を見ていた。
ご冗談をと返そうと思ったが目を見て冗談ではないと気づいた。
「…お気持ちだけでも嬉しいんです。
ただ、もう
分からなくなっちゃって」
へへっと笑いながら資料を並べて阿部さんの手から空のダンボールを受け取った。
ダンボールの底をカッターで綺麗にひろげてダンボールを畳んでいく。
阿部さんは何も言わずただ私の方を見た後扉の方に向かっていた。
ここを辞めたら学生の時にバイトしていた所に行こうかな。人手が足りないとか言ってたし。
「笹垣さんみたいな人と一緒に仕事出来たら俺は凄く嬉しいかな」
「え？」
声のした方を見ると扉が静かに閉まった。
何だったんだあの人？
その後阿部さんと会うことも無く月日が流れていき
「目黒君、私なんで辞めてないんだろ」
「あんなに辞めると言ってた人程残るものなんだって」
「いや、退職願をさ出そうとした時に部署異動はないでしょ」
「経理？」
「…目黒くんはいいよ、営業志望で営業なんだから」
「Aはどこだったの？」
「……忘れた」
「3年も前の話なのにか？」
同期の目黒くんといつしかお昼を一緒に食べるようになっていた。
初めの時は全然そんなことなかったのにな。
目の前にいるイケメンを見るとこの人と同期なことが奇跡に思えてくる。
お茶を一口飲みながら考えていると自分の後ろから椅子に触れる音がした。
振り返ると私がお昼前に出した書類が目に見えた。
まさか
「お昼ご飯中にごめん。
抜けがあったよ」
「…お疲れ様です。
お昼終えたら直ぐに確認します。」
紙には付箋が貼ってあり細かく指示が書いてあった。
「お昼食べないんですか？阿部さん」
「食べる暇がない」
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ハル春(プロフ) - なっちゃんさん» コメントありがとうございます！更新が不定期なので待たせてしまう事が多いと思いますが少しずつ頑張っていきたいと思います！もっと面白い作品にしていこうと思います。 (2021年7月13日 21時) (
レス) id: d930f7625b (このIDを非表示/違反報告)
なっちゃん - コメント失礼します。 作品が面白くていつも拝見しています 作者さんのペースで頑張ってください (2021年7月3日 16時) (レス) id: 14f73ed980 (このIDを非表示/違反報告)
ハル春(プロフ) - やまださん» ありがとうございます！更新が不定期ですが頑張っていきたいと思います。もどかしくなるのは確かに分かります。楽しく読んで下さりありがとうございます。これからも頑張っていきますね！ (2021年6月27日 21時) (レス) id: d930f7625b (このIDを非表示/違反報告)
やまだ - コメント失礼します！読んでいてキュンキュンするしもどかしくなるし、とても楽しく読ませてもらってます！更新を楽しみに待ってます！ (2021年6月26日 15時) (レス) id: b91da3af14 (このIDを非表示/違反報告)
ななし(プロフ) - ハル春さん» 返信ありがとうございます。まさか私の作品を読んでくださっているとは思わず驚きました。恥ずかしながら私は更新ペースが遅いのですが、応援のお言葉とても嬉しいです。頑張りますね。 (2021年6月26日 13時) (レス) id: c457153612 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ハル春
| 作成日時：2021年6月9日 6時
