四人の歌い手は鬼を狩る

最終選別 ページ27

うらた視点


　センラが師匠を助けた出来事から早2年経ち、俺はカナヲと一緒に最終選別に来ていた。



　まーしーのオリジナル呼吸である、藤が咲乱れる場所が最終選別の待合場所らしく、二十人前後が集まって居て、奥に鳥居があるだけで、他には何もない。



　全員表情は硬く、微笑んで居るのはカナヲだけ。



　いつも通り微笑んで居るカナヲをチラッと見て、辺りを観察する。



　鬼の苦手な藤の花が咲乱れるこの場所の先には、鬼が何体も居るらしく、正直行きたくない。



　…話通じないし、血が好き過ぎるし…。



カ「うらた、始まるよ。」



う「！」



　ハッとして鳥居を見ると、白黒の子供が立っていた。



　…あの黒い子、女物の着物を着てるけど、少女とも言い難い気もするし、男の子とも断言出来ない…。



　ジーッと観察して居ると、全員が奥に歩いて行き、取り敢えず俺も奥に足を進める。



　全然話を聞いて無かったけど、まぁ良いや。



　七日間生きれば良いらしいし、俺はまだオリジナル型を使い熟さて居ない。



　観察に回って、夜は鬼に奇襲を仕掛けるのが良いだろう。



　腰に下げて居る刀に手を乗せて、のんびり歩く。



　…まぁ、死ななければ良いか。



　死ななければ大切な人達に会える。



　双子の時は無力で何も出来ず、まーしーや坂田に頼ったけど、今は違う。



　俺だって強くなったんだ。



　この2年間が険しいいばら道だったとしても、もっと長い道を歩いて来たんだ。



　このくらい、どうって事ない。



　カナヲと別れて一人で山の中を歩く。



　…近くに鬼が二、三体。



　さっき考えた作戦通り、奇襲を掛けれるように深呼吸する。



う「…樹の呼吸、参ノ型、闇刻森林。」




大正コソコソ噂話


　浦島坂田の三人には、それぞれのオリジナル呼吸があり、うらた(さん)・樹の呼吸、志麻(さん)・藤の呼吸があり、



　水の呼吸→樹の呼吸



　花の呼吸→藤の呼吸



　この二つは、二人が師から習得した呼吸の派生では無いですが、会った隊士から聞いて習得して、そこから派生を作りました。



　いちよう水も花も、使えるらしいです。



　坂田(さん)のオリジナル呼吸と、鬼でもないセンラ(さん)が月の呼吸を使える理由も、また今度です。

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