◇妖の世界へようこそ ページ5
目を開けるとそこは暗闇だった
遠くに光が見えたものだからそこを目指して歩いた
なんでそこに行ってるなんて考えもしなかった
チリンチリン―
鈴の音がこだました
壁に反響して
何度も何度もその音を響かせる
「こちら側ヘ· · ·ようこそ｣
黒髪ロング 赤い袴を着た女性が話しかけてきた
前で結った三つ編みが ふわり と揺れる
「そう驚いた顔をしないで」
にこりと笑みを浮かべる
蝋燭が怪しげに揺れ、足元を照らしていた
鈴の音色と共に現れたような綺麗な人
チリン―
ゆっくり近ずいてきた
やけに赤いピアスが目立ってる
一歩一歩近づく度にキラリキラリと光り
その度私の心臓はドキドキなっていた
「だが、貴方はこちら側のものでは無い」
私の目の前に来ると静かに言った
鈴の音のような声で心を落ち着かせる
「なので、貴方を元の場所に案内しましょう」
チリン―チリン―チリン―
と鈴を3回鳴らした
旋風がおき、風が身を包む
風が鼻先をかすめ目を瞑った
グルルッ
すると真っ白な狐のような化け物が目の前に現れた
呼び出した女性の何倍もある
目が赤くギラギラ光りこちらを見ている
ベロりと私を舐めてきた
食べられるそう本能的に感じた
「た、食べないでっ！」
ギュッと目をつぶった
もうそろそろ食べられる そう思ったのだが
まだ、化け物は私をまだ舐めましている
「こらこら。舐めちゃだめでしょ」
鈴のように澄み渡る声が聞こえ
化け物はスっと私から離れた
「美しい生き物でしょう
さあ、この子に乗って行きましょう」
悪戯ぽい笑みを浮かべ
よいしょ と化け物に乗った
唾液が顔や服に付いて気持ち悪かったが
渋々乗ることにした
これ以外にこの場所から出れる物はない気がしたからだ
すると、化け物は風のような速さでグイグイ進んでいく
あっという間に暗闇から出てしまった
そこには 息を呑む光景が見えた
【妖の世界へようこそ・多分続く】
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