035:変わらぬ君 ページ48
ーーーー…レン、さん……ーーーー
発す言葉も見つからないまま、成す術もなく、レンを見つめる。
「僕、は……」
レンは、眉を寄せ拳をきつく握って黙ったまま、ただそこに立っているだけ。彼が戸惑っているのがわかって、何となくほっとして、更に申し訳なくなった。
「…あ、あの、レン、さん」
「…？Aさ、」
どうしてもいたたまれなくなり、何とか彼の名前を絞り出す。
すると、心なしか額に少し汗をかいたレンは、どこか苦しそうに目を細めて私を見た。
…そして、とても微妙な顔をした。
驚いたような、呆れたような、困惑したような…ともかく、言葉では言い表せないような顔を。
レンは、しばらくその顔で私を見つめていた。
…私は、何か可笑しいことを言ってしまったのだろうか。
少し彼の顔を見ているのが辛くなって、目を伏せた。
「はぁ…あなたは、全く…」
そう、いつも通りの彼の声が聞こえた。
…もう一度レンの顔を見ると、先程までの表情が嘘だったかのように、少し呆れを含んだ、涼しげな顔。
そのまま、溜め息をもう一つ。
どうすればいいかわからず、とりあえず着物の袖を掴んで、顔を背けようとした。…だがレンは、私から目を反らさず、近くに来るように手で指示をする。
私は、とりあえずやることができそうな状況に内心安堵しながらも、そろりそろりと彼に近付いた。
「見捨てるわけにはいきませんからね。
手当てをするので、Aさんも手伝ってください」
「はっ…はい！」
レンはどこからともなく救急箱を取り出すと、包帯を手際良くテトちゃんに巻き始める。
私も、日本にいた時に試合で怪我をしたがっくんによく手当てをしたのを思い出して、懸命にレンを手伝った。
「…手当て、上手ですね」
「まぁ、慣れてますから」
「救急箱、持っていらっしゃったんですね」
「いつどこで怪我するか、わかりませんから」
「………」
続かない会話。
ネトちゃんを見つめるレンの瞳は真剣で、私は口をそっとつぐみ、治療にだけ専念することにした。
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サーシャ - アサミさん» ありがとうございます！！ しばらく更新ができなくてお返事が遅れてしまいましたが、とても感謝しています！続編でもそのイメージを崩さないよう頑張りますので、良ければよろしくお願いします。 (2017年11月6日 21時) (
レス) id: 2ec897ff99 (このIDを非表示/違反報告)
アサミ - その文章力が羨ましいです！ＫＡＩＴＯはかっこいいし、レンくんは可愛いし！続きを楽しみにしています！ (2017年10月23日 23時) (レス) id: 4b0b8ba6fb (このIDを非表示/違反報告)
水無月 - 更新お疲れ様です！もう、ヒロインちゃんに惚れました(*´ω｀*) (2017年8月26日 21時) (レス) id: 3308dd359c (このIDを非表示/違反報告)
サーシャ - めんごねんさん» ありがとうございます！ そんなふうに言って頂けると、書いていてとても楽しくなります！！ これからも、楽しいと思ってもらえる様な文章を書けるように、頑張りますね♪ (2017年7月8日 7時) (レス) id: 2ec897ff99 (このIDを非表示/違反報告)
めんごねん(プロフ) - はじめまして！( *・ω・)ノこの作品を見つけて読み始めたとき、完全に心奪われました！！文章表現がとても好きです！更新、頑張って下さいp(^-^)q！ (2017年7月4日 21時) (レス) id: 568c7ed2fc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：サーシャ | 作成日時：2016年9月26日 21時
