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「あなたね、死にました」
「…あーそうですか」
純白に染められた、
なんの家具も装飾もないタンパクな部屋。
わざとらしく
とても残念ですと泣いている自称神
……実際死んだ記憶はあるし、事実だろう……
を見ながら私は答える。
……人間の価値は、
なにか残っているかどうかだと思う。
残すのはいつだっていい。
5歳？18？36？死ぬ時？
…どんな時でも構わない。
世界に、生きた証を残したかどうか。
何も無かった四半世紀。
だから死ぬ時くらいは
なにか残そうと思っていた。
漠然と。
例えば誰かを助けて代わりに死んだとか、
例えば暴漢に襲われた哀れな被害者としてとか。
死ぬ理由があれば死んでやろうと思っていた。
……でも別に、いつ死んでも構わないと、
本当は思っていたような気がする。
……誰かに必要とされない人間は、
拍動しているだけで。
酸素を吸って二酸化炭素を吐き、
無益に栄養を摂取し、惰性で眠る。
死んでいるのと何ら変わらない。
そこにいても誰にも意味をなさないから。
「あんまり驚かないんですね？
もっとこう、悲しんだりとか」
「あー別にいいですそういうの」
身体は生きてたのかもね。
中身は死んでから随分経つから。
今更入れ物が終わったと言われても、
なんの感慨も特にない。
「で、これからどうなるんですかね。
天国？…には行けませんね。
地獄なら地獄でとっととどうぞ。
それとも転生とかほんとにあるのかな。
どうでもいいので好きにしてください」
「…キミ……そうだね、そうかもね。
じゃあ転生してもらおうか。
でもねぇ、
キミには色々足りないものが多いからね。
少しだけ若返らせてあげるからさ、
君なりに、生きてきなさい。」
神様は黙って私の額に手を当てて、
一瞬だけ、寂しそうな顔をした。
気がした。
神の心が読めるなんて、
そんな大それた力は私には無い。
ぐぐ、とそのまま額を押し付けられると
一気に瞼が重くなる。
「向こうはそれなりに危ないからね。
キミにも力をあげようね。
そうだね、
事象を拒絶する 結界なんてのはどうかな。
使い方は自分で考えられるね？
……あぁ、でも1枚から出せないから注意する事。
___________________。」
あぁもうダメだ。
……転生したら、そうだな。
……なんて、
したい生き方なんてどこにもないけど……。
「今度はちゃんと、
人を信じて生きておいでね。」
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作者名：れれれのおじさま | 作成日時：2020年10月12日 0時
