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*S-side
相良「……っと」
片桐「おい。なんでここなんだ」
相良「あ?一番近いのがここだからだよ」
俺はゆっくりAをベッドに下ろしてやる。
部屋の主である智司は心底嫌そうに眉を寄せていたが
満更ではないことは分かってるぜ。
相良「もう少しマシになったら俺が家まで運ぶし、
伊藤の野郎をここらへんに呼んだら
押し付けるつもりだからよ。
ちょっとくらい良いだろ」
片桐「……はぁ。氷のう持ってくる」
そう言って智司はキッチンの方へ向かった。
「ん………は、……」
相良「A? 大丈夫か」
「………さがらさん……ここは……?」
相良「智司の家。ベッド臭いだろ」
「……ふろーらる」
相良「はは、そーかィ。良いから寝てろ」
熱のせいか少し涙目になっている。
寝ろ、と言ったのにAはもそもそと
起き上がると潤んだ瞳で俺を見つめてきた。
相良「っなんだよ」
「さがらさん……あの………」
ドッドッドッと心臓が騒ぎ立てる。
手を出してしまいたくなるのを必死にこらえた。
「………ご……」
相良「あ?」
ぎゅ、と布団を握りしめて、
振り絞るように声を出す。
弱気、というか猫なで声、というか。
普段とは違う声に俺は一瞬なんて言ったのか分からなかった。
「………りんごたべたい」
相良「…………っは?」
片桐「おい相良、氷のう……あぁ。起きたのか」
「あう……ベッドお借りしてすいません……」
片桐「気にするな」
さっき嫌そうな顔してたくせに。
、じゃなくて
相良「ちょっと出掛けてくる」
片桐「どこ行くんだ」
相良「スーパー。林檎買ってくる」
片桐「それなら俺がいくからお前はAの傍にいてやれ」
相良「っいいのか」
片桐「……嬉しそうだな」
相良「ッなわけ!!」
でかい声を出しそうになって咄嗟に飲み込む。
恐る恐るAを見ると、
丁度ベッドに横になったところだった。
片桐「じゃ、行ってくる」
相良「……青森産な」
片桐「……あればな」
そう言って智司は家を出ていった。
残った俺はもう一度Aの顔を見る。
顔を真っ赤にして、苦しそうだ。
時おり「ぁぅ……」とうなされている。
相良「……もう少しの辛抱だぞ」
自分でもゾッとしそうなくらい優しい声が自然と溢れた。
智司がいなくてほんとによかったと思う。
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めーぷる(プロフ) - 紫雨さん» 了解しました!ありがとうございます!! (2019年1月3日 21時) (レス) id: ed137c864e (このIDを非表示/違反報告)
紫雨(プロフ) - めーぷるさん» リクエストありがとうございます!ただ、申し訳ないのですがこのpart3は恐らく今もらってるリクエストでpart4へ移行すると思います!本当に本当に面倒で申し訳ないのですが、移行した際にもう一度リクエストしてもらってもいいですか?申し訳ないです(*_*; (2019年1月3日 21時) (レス) id: b7016d0be3 (このIDを非表示/違反報告)
めーぷる(プロフ) - すみません、リクエストです…!色々あって心がボロボロな妹ちゃんを三橋くんが死ぬ気で助けるって話お願いしてもいいですかっ (2019年1月3日 19時) (レス) id: ed137c864e (このIDを非表示/違反報告)
紫雨(プロフ) - jr00rtk417hさん» なにか名案があれば教えてください!(笑) ありがとうございます!がんばります(≧∇≦)/ (2019年1月3日 18時) (レス) id: b7016d0be3 (このIDを非表示/違反報告)
jr00rtk417h(プロフ) - 確かに…(o_o)そこが問題ですね笑笑いつも楽しみにしてるのでこれからも頑張ってください! (2019年1月3日 16時) (レス) id: 279b567dfc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:神室紫雨 | 作成日時:2018年12月6日 22時