situation (ページ8)

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「昼も来ますか？」

「勿論」

「お待ちしてます。いってらっしゃい！」

向井さんの

「いらっしゃいませ」「いってらっしゃい」

が、苦手な上司にも残業にも耐えられる。
向井さんに会えるだけでも頑張れるんだけど。

「相変わらずだな(笑)
思い出すだけでニヤけるとか何なの」

「、照。だって考えてみろよ。毎日好きな人にいってらっしゃい言ってもらえるんだぞ？

同棲してるみたいでテンション上がるじゃん」

「……俺には分からない」

……なんだよ。分かるはずなんだけどなぁー。

とにかく昼休みまで頑張ろ。

カランカラン、と鈴の音が響き気持ち良い。

「あっ、こんにちは。今日は何にします？」

「んー……グラタンで」

…他愛ない話はしてるけど、
実際のところ向井さんのことは何も知らない。

この店のことだって、マスターはいるらしいけど一度も見たことはないし、料理だって向井さんが作ってるのかマスターが作ってるのか……。

「どーぞ、エビグラタンです」

「あぁ、あのっ！いつも
向井さんが料理作ってるんですか？」

「はい！そうです！だから朝、
美味しいって言ってくれたの…嬉しくって」

「うわっ！マジで！？こんな美味いのは凄いですよ。毎日俺の為に作って欲しいぐらい」

「！」

「って、作ってもらってますね(笑)」

本当は〝俺だけに〟作って欲しい。