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昔話1 ページ16

7年前の話____



私は、ポートマフィアに拾われた。




否、拉致の方が正しい。


当時行く宛もなく知らない男の家を転々としていた私としては、調度良い転機でもあったのだが。





朝霧Aは、裕福な家庭に生まれた。

可憐な容姿。

恵まれた運動神経。

秀逸な学習能力。




気味の悪い能力さえ持っていなければ、


聞き分けの良い、笑顔を絶えない普通の子供であった。








だが


少女に幸せの(ともしび)なんて、無かった。

朝霧Aという少女は__を知りすぎた。






愛、

友情、

心配、

あたたかさ、









.









.







感情までも。






.







偽り。

自分は幸せだと、誰よりも恵まれていると、少女は思っていた。

けれども、そこには"偽り"しか無かったのだ。







少女は幸せを知りすぎた。


故の冷。

少女は非情に為った。…冷酷に陥った。






愛情なんて偽りだった。

友情なんて卑しいものだった。

心配なんて見せかけだった。

あたたかさなんて、なかった。






「気持ちの悪い能力だ」
「神様に嫌われていられる」
「アレは呪われている」
「人間じゃない」
「化物だ」





わたしに関わる人達は、裏ではわたしのことを化物と呼んでいたのだ。


近所の知り合い、仲の良い友達友達、よく行くお店の店主、………………………肉親でさえも。


「早いうちに処分を」

.








.






少女の笑顔は途絶えた。


秀逸な頭は動いた。
偽りには偽りを。






.








.








『ねぇお母さん。これからどこにいくの?』



「たのしいところよ。」





『ねぇお父さん。どんなところなの?』




「お前の好きなお花がたくさん咲くところだ。」








『ねぇ。』









着いたのは、本当に花畑であった。




見渡す限りの赤い赤い、赤い、赤い、







深紅の血肉が床一面に広がる場所であった。








周りで私を囲む銃を持つ大勢の兵隊たち。

「ごめんね」

と偽りの言葉を遺し立ち去る両親。







.









嗚呼。





.








この世界は非道だ。






.









.








.









.









わたしが気付いた時には、





______________海が広がっていた。

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ダーカー - 1か2がみたいです!お願いしますm(_ _)mm(_ _)m (2021年11月4日 23時) (レス) @page28 id: 80264e36de (このIDを非表示/違反報告)
リーサン - 個人的には2番目が見たいです!更新頑張ってください! (2021年10月17日 13時) (レス) @page28 id: 2ccc567f0f (このIDを非表示/違反報告)
ノンレム - 個人的に1か2がみたいです!応援してます! (2021年10月13日 21時) (レス) id: 3af77494df (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 3番が見たいです!!更新頑張ってください!(≧▽≦) (2021年9月29日 21時) (レス) id: 265680ab33 (このIDを非表示/違反報告)
天歩(プロフ) - 個人的に3番が読みたいです!頑張ってください! (2021年9月28日 16時) (レス) @page28 id: 89d9d234ac (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:蒔野 | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2021年7月11日 23時

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