紅茶 ページ6
ほのかに甘く香る、紅茶を少し口に含む。
「おいし?」
「はい」
今までに感じたことのないような味に、思わずホッと息が出た。
トントンさんは、俺を見つめながら自身も紅茶を啜る。
「よかったー。 Aは甘いもんも好きそうやな。 今度はケーキでも食ってみよか」
「いえ、そんな…。」
人から何かを与えられることに慣れない。だから、こんなふうにされると、どうすればいいのか分からない。
それに気づいたのか、トントンさんは少し目を細めてから、ガタンと立ち上がった。
「まぁ、また紅茶飲もうや。 ティーポットは置いてくから、好きに飲みや」
「あ、いえ。 悪いです。」
「気にせんと好きな時に飲みや。あ、それとAは午後完全に非番にしたから、あと3時間は寝てな 」
非番…。
何も無いのか。どうしよう、やることない。
「言っとくけど、寝るのも大事な仕事の一つやで。 休めるときに、休もうな」
「はい…。」
「うん、素直でよろしい」
意味もなく頭をグリグリと撫で付けられる。
どうして、今日は意味もなく頭を触られるのだろうか。
トントンさんは、にこりと笑って部屋を出ていった。
机に置かれたままのティーポットが静かに湯気を出していた。
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作者名:ももすけ | 作成日時:2017年9月15日 20時