コイツの主役は我々だ (男主) (ページ39)

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穏やかなページ39

「国がひと段落したら、休みとりたいなぁ。」

無理か。なんて悲しそうに笑いながら、食堂へ行く。

みんな出払っていて、俺とトントンさんしかいなかった。照明は点いておらず暖かい陽射しだけで照らされた食堂は、なかなか雰囲気があるように思える。

「料理人もおらんから、ほんまに俺らだけやな」

ティーポットに茶葉をお湯を注ぐ姿を黙って見つめた。
透明のお湯が、どんどん茶葉により赤く色づくのは見ていて面白い。

「A、作り方覚えたら自分で作ってもええよ」

よほど見すぎていたのか、クスクスと笑いながらティーポットやカップをお盆に移し、窓際の席に移動する。

「あ。そこに茶菓子あるから、持ってきて」

指さされた先には、小綺麗なお皿に焼き菓子が盛り付けられている。
それを持って席につくと、ちょうど窓から街の修復具合が窺えた。

「穏やかやなぁ」

ポソッと呟いたトントンさんは、向かいの席で気持ちよさそうに目を細めている。

…これ、トントンさん眠ってしまうかもな。

俺は静かに紅茶を啜り、トントンさんがスースーとうたた寝に入るまでその様子を静かに見守った。

穏やかなひと時に身を任せ、最悪の世界に訪れた小さな幸福を噛み締めた。