コイツの主役は我々だ (男主) (ページ29)

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撃ち方止めページ29

後方で、銃撃音が聞こえる。

第一の門であるここを突破された。周りの兵は、減らないエイリアンに押し負けていた。既に数名は命を落とし、横たわっている。

ここに留まる必要性はない。 1度引いて戦況をたてなおすしかないだろう。

「一時撤退！街外れまで下がります！」

これが正しい策なのか。

いつの間にか何も聞こえなくなった無線機を見つめ、俺も下がる。

3分の1は失ってしまっただろうか。町外れの廃墟ビルの中や、物陰からエイリアンを撃ち倒す。

既に手負いの兵は、治療を受けていた。

このままでは埒が明かない。いくら狙撃に長けていたとはいえ、弾が切れてしまえば何も出来ない。
この作戦を実行するならば、エイリアンの波が治まっている今しかない。

「総員。撃ち方止め。」

無線で伝えると、最軽量の装備に切り替えて道のど真ん中へ出る。奥には赤い目が進んできているのが見えていた。

「俺が出来るだけ数を減らします。恐らく相手も部隊を組んでいるはず。皆さんは弾の補充、そして怪我人の救護を。」

自分の力を過信しているつもりはない。

これからの未来を守る兵士の犠牲は、ひとりでも減らしたかった。

入口の狭まるここでなら、俺も存分に働けるかもしれない。
持つ武器は、己の心と、片手に持たれた黒いナイフだけだった。