大丈夫 ページ25
決戦時刻は、時刻12時。
今夜、日が変わると同時に対戦。
「A、表情が固いゾ」
弾の補充や、折りたたみ式のナイフを研いでるなか、いつのまにか背後にグルッペンさんがいた。
相変わらずこの人の気配を感じ取ることが出来ない。
きっちりと軍服を着こなす姿を、 俺はもう見れないだろう。
「…死にたくないのか」
「いえ、俺は貴方に命を捧げた身。 今頃そんなもの怖くないです。」
怖くないはず…。もしかしたらそう言い聞かせているだけかも。
下がる視線を、グルッペンさんは見逃さなかったようで。
「大丈夫だ。 お前は俺が見込んだ男。 こんな戦いで命を落とすはずがない。」
まるで安心させるように。
心の奥底で怯える俺を宥めるように、頭を撫でる。
途端にぶわりと何かがこみ上げ、胸が苦しくなる。
「ふふ…。 泣けるようになったか、そうかそうか。」
目から溢れ涙は止まることを知らず、次から次へと出てくる。
「グルさーん。 国民の避難は完了した…ってなに泣かしとん」
「トン氏よ、誤解なのだ。 俺はAを泣かす気などは…。」
「あかんなぁ。 不安がってるAに、追い討ちかけるように何か言うたんやろなぁ。 怖いなぁ」
珍しくグルッペンさんを煽るように、ニヤリと笑うトントンさんにあたふたと答えるグルッペンさんに、涙は乾いてしまった。
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作者名:ももすけ | 作成日時:2017年9月15日 20時