▼ ページ22
「…足」
『ああ、考え事してたら転んじゃって…』
「ドジ」
相変わらずなにを考えてるのかわからないうっちーさんは、岩場に上がった後脱ぎ散らかしてあったジャケットを拾っていたけど、
海水で滲んだ私の足の傷に気付くと、呆れたようなそんな言葉に、言い返す言葉も見つからない。
「もって」
『は、はい。っ、わ』
乱暴に押し付けられたジャケットやうっちーさんの革靴を慌てて受け取れば、そのまま雑に担がれた身体。
『あぁ！！』
「…なに」
『スマホ…ポッケに入れたままです…』
「はぁー…」
盛大な溜め息と共に器用に歩き出すうっちーさんの足は、
裸足のまま足早に岩場をぴょんぴょんと移動していくから、
揺れるそこで凄いな、なんていらない感心。
「…ほんと、へんなやつ」
『へ？！』
「声でかいうるさい」
『、うっちーさん…』
「ん？」
『みんなで、バーベキューしようって…嶺亜さんが』
「あそ」
『…来ます、よね？』
こういう時、なんて声をかけたらいいかなんてわからなくて、
ぎゅっとしがみついたうっちーさんの肩。
小さく震えてる気がするそこが、痛くて悲しくて、
「…はちは？」
『いきます』
「じゃあいく」
砂浜まで着いて相変わらず乱暴に下ろされた身体。
見上げた背の高い彼の顔は安定に真顔だったけど、真っ赤な目にやっぱりぎゅっと締め付けられる胸を押さえた
「その前にスマホ」
『え？』
「ぬれたんでしょ。シャワー浴びてしたくしてきて」
私の横を通り過ぎざまに、ぐちゃぐちゃにされたビシャビシャな頭。
振り返って見えた背中はいつもより小さくて、
『っ、』
「…はち？」
なんでそうしてしまったのかなんてわからないけど、
私と同じビシャビシャな後ろ姿
ちょっと目を離したら今にも消えてなくなってしまいそうなそれに、
『今日は、絶対離れません、から』
「は…？」
後ろからぎゅっとした冷たい身体。
私の言葉に顔だけ振り返ったうっちーさんは絶対変な顔をしていたけど、そんなことどうでもよくて、
ただうっちーさんが消えてしまわないように、ぎゅっと腕に力を込めた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1659人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「少年忍者」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ゆう - このお話が大好きで未だに何度も読み返しています。アオさんの紡ぐお話をまた見れる日が来るかは分かりませんが、今でもずっとだいすきなお話です。 (12月25日 15時) (
レス) id: 9b89e968b5 (このIDを非表示/違反報告)
ちぴ - お話終わってしまったんでしょうか？続き気になります＾＾ (2022年8月6日 3時) (レス) @page24 id: d3cdc5c0b2 (このIDを非表示/違反報告)
りぴ(プロフ) - はじめましめ！おはなし一気に読まさせて頂きました。本当に描写も言葉も引き込まれる作品で、この作品の虜になりました！もう更新はされないのでしょうか、、？（ ; ; ） (2022年1月29日 23時) (レス) id: 46981ee839 (このIDを非表示/違反報告)
爽 - 更新ずっと待っていたので嬉しいです！ (2021年11月20日 21時) (レス) @page24 id: 034faa10a9 (このIDを非表示/違反報告)
あゆみ(プロフ) - 初めまして。更新ずっと待っていました！☺︎アオさんの書くお話が1番好きなのでこれからも楽しみにしています！ (2021年9月19日 22時) (レス) id: 334d2140a9 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：アオ
| 作成日時：2021年2月12日 4時
