絶対離れません ページ21
ゴツゴツした岩がサンダルの底に突き刺さる感覚を感じながら、
足場の悪いそこでバランスを取りながら歩くけど、
頭の中をぐるぐるしてるのはみんなの意味深な言葉や、
うっちーさんのあの泣き顔。
『痛っ、』
岩場は考え事しながら歩くもんじゃないな
しっかり転んだ足元は擦りむけて赤く滲む。
とりあえず早くうっちーさん探してみんなの所戻ろ
"あいつの母ちゃんの三回忌…"
なんて、声を掛ければいいんだろう…
『…これ、』
咄嗟に着いた手元も痛いはずなのに、痛くなくて、
岩と違う感触のそこを辿れば、手の下にあったのは嶺亜さんたちと同じ黒いジャケット。
近くには脱ぎ散らかされた革靴や靴下なんかも見えるから、
なに、これ…自、殺とかじゃ、ないよね…？
今度は用心深く近寄って覗き込んだ水面。
『あのー…、誰かいますか』
透き通った海の中、目を凝らして見つけた先にはふわふわと漂よう何か。
人だと気付いた時には、
白いワイシャツが海の動きに合わせて揺れるのが、クラゲのカサに見えて、
途端に思い出すのはうっちーさんの部屋で見たあの夢と、朝の皇輝くんの言葉だったから、
『うっちーさんっ、！！』
慌てて飛び込んだ海の中。
開きづらい視界の中、白いそれに目一杯手を伸ばそうとしたけど、
『ぷはっ！っ、』
そうだ、忘れてた、私泳げないんだった！
夢の中では泳げたしなんなら呼吸も出来てたのに！
気付いた途端パニックになる頭。
バタバタもがいても浮いてくれない身体は沈んでいくばかりで、
焦れば焦るほど息も上手く吸えなくて、
ちょっぴり飲んでしまった海水と、苦しいだけのそれに、
ああ、もうだめだ
バタバタもがく気力もなくなって、身体からふわっと力が抜けた時だった。
『っはぁ！』
「…なにしてんの」
脇の下に何かが差し込まれて、水面の上に持ち上がった身体。
慌てて大きく吸い込んだ酸素に、頭がクラクラとして、
『お、泳げないの、忘れてました、っ』
「…ばかなの？」
『っ、だって、！…ほんとにクラゲに、っなっちゃったかと、』
ふわふわ揺れるうっちーさんのワイシャツ。
水の中でしがみついた身体は冷たいけど、あったかくて、
『っ、よかった…』
色んな意味で安堵のため息が漏れた私の耳元、
やっぱへんなやつって、聞こえたお決まりのセリフは、ちょっぴり震えていた。
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ゆう - このお話が大好きで未だに何度も読み返しています。アオさんの紡ぐお話をまた見れる日が来るかは分かりませんが、今でもずっとだいすきなお話です。 (12月25日 15時) (
レス) id: 9b89e968b5 (このIDを非表示/違反報告)
ちぴ - お話終わってしまったんでしょうか？続き気になります＾＾ (2022年8月6日 3時) (レス) @page24 id: d3cdc5c0b2 (このIDを非表示/違反報告)
りぴ(プロフ) - はじめましめ！おはなし一気に読まさせて頂きました。本当に描写も言葉も引き込まれる作品で、この作品の虜になりました！もう更新はされないのでしょうか、、？（ ; ; ） (2022年1月29日 23時) (レス) id: 46981ee839 (このIDを非表示/違反報告)
爽 - 更新ずっと待っていたので嬉しいです！ (2021年11月20日 21時) (レス) @page24 id: 034faa10a9 (このIDを非表示/違反報告)
あゆみ(プロフ) - 初めまして。更新ずっと待っていました！☺︎アオさんの書くお話が1番好きなのでこれからも楽しみにしています！ (2021年9月19日 22時) (レス) id: 334d2140a9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：アオ
| 作成日時：2021年2月12日 4時
