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十柱 ページ11

不安げな表情をした桜喜は、ゆっくりと口を開いて語る。


桜喜『ほら、前にも話しただろ?俺の家族のこと』

義勇「嗚呼、そうだったな」


ふと顔を上げて、桜喜は苦しそうに笑う。


桜喜『俺、姉ちゃんだからさ、皆のお手本なんないといけないんだ。間違った道に進まないようにって、でもさ、時折俺が今やってることはなんなんだって思うんだ。仕方がないこととはいえど、生きているものの命を奪うことを、俺は弟や妹達に胸張って言えるかって、命の大切さを教えねぇといけないのに、なんで俺が奪ってんだって』


ツーっと音もなく流れ出る雫に、義勇は眼を見張る。


桜喜『だけど、そんなこと、無理してまでお願いした、母さんや父さんに言えなくて、弟や妹達には、誇れるような姉ちゃんでいなきゃって、そんなこと考えてたらさ、もう、分かんなくなっちゃうんだ。どれが、本当の自分で、どれが偽物なのかって。それがとても怖くて怖くて仕方がない』


膝を抱え込んで、腕に顔を埋めて通常なら聞けない桜喜の弱音を聞く。


桜喜『苦しくても、辛くても、悲しくても、笑わなきゃ。あの子達を不安にさせないために』


黒い瞳から流れ出る涙は、それまで我慢してきた桜喜の気持ちを表すよう、止まることがない。


桜喜『だから、だから……』

?「もういい。何も言うな」


桜喜の身体を、後ろから優しく抱え込むように、誰かが抱きしめる青年。


?「大丈夫だよ。私達は、桜喜のこと、ちゃんと分かってるからね」


真っ正面から優しく抱きしめてくる少女と、後ろの青年を見て、桜喜は眼を見張った。


桜喜『"錆兎"、"真菰"なんで?今日は任務で帰ってこれないんじゃ?』


顔に傷を負っている"錆兎"、頭に花が描かれた狐面をつけた"真菰"だ。


錆兎「案外任務が早く終わってな。早く帰って来れたんだ」

真菰「そうだよ。それよりも、義勇にだけ本音を話して、私達には話さないなんて酷くない?」


二人の登場で、涙が引っ込んだ桜喜。


桜喜『ご、ごめん』

真菰「いいよ。これからいっぱい話そ!ね?」


真菰の優しくて安心する言葉に、桜喜は涙を拭って笑った。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


家に日帰りで帰ってから数日後のことだった。

任務が終わり、久々に2日休みをもらえることになって、そのまま炭治郎達が待つ家へと向かっていた時だ。


桜喜『しまった。暗くなってきたな』


任務を遂行してそのままなので、もう日が暮れ始めている。

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Suzu - 続きが気になります!更新頑張って下さい! (2019年10月3日 19時) (レス) id: 186e5924cf (このIDを非表示/違反報告)
スゥ - すっごく面白いです!早く続きが読みたいですが、無理をせずに更新頑張って下さい! (2019年8月28日 1時) (レス) id: 186e5924cf (このIDを非表示/違反報告)
なきき - この話が大好きです!!!!!続き楽しみにしてます。頑張ってください (2019年7月15日 14時) (レス) id: cdddd9fcdb (このIDを非表示/違反報告)
りな - 面白くて好きです!続きを楽しみに待ってます。無理をせず少しづつ更新してください。応援してます!! (2019年6月2日 6時) (レス) id: 55c1958e88 (このIDを非表示/違反報告)
イナビカリ(プロフ) - 続きが気になります!しっかりしたお姉ちゃんって感じが好きです!後、鬼舞辻との絡みも面白い!更新頑張って下さい! (2019年6月1日 23時) (レス) id: fb4eedb2d0 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ranki | 作成日時:2019年5月15日 22時

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