春紅クール

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なんだかんだで伊野尾ちゃんはうちに来ることになった。
仕事で家を空けることは多いけど、ひとり暮らしをさせるよりは安心だし、俺がいない時は他のメンバーが家に来てくれてもいいし。
伊野尾ちゃん本人も俺の家に来ることに不満はないみたいだし！(俺の手料理に惹かれたらしい)

社長にも話し合いの内容を伝え、世間にも公表した。
当然ネット上では話題になり、活動休止について悲しむ声や無計画な妊娠について非難する声を多く見かけた。
しかしそんな中にもおめでとうと祝福してくれる声もあったのだ。



そして遂に活動休止期間に入り、伊野尾ちゃんがうちに来る日がやってきた。

車で伊野尾ちゃんを迎えに行き、うちに到着するとまずは荷物の整理を始めた。
とは言っても伊野尾ちゃんが持ってきた荷物は少なかったからすぐに終わった。


ソファに座ってテレビを見ている伊野尾ちゃんにホットミルクを作って渡し、自分も隣に座った。

勢いで招いたけど、冷静になって考えてみればこれから毎日仕事から帰ってくると伊野尾ちゃんが家で待ってて「おかえりなさい♡」って出迎えてくれるんだよね…。
夜は2人でご飯を食べて、テレビを観て、おしゃべりして、お風呂に入って……いや、さすがにお風呂まで一緒はダメだろ…。


「…あっ、寝る時どうしよう。伊野尾ちゃんはベッド使って…俺はソファか…床に布団敷くかだな…」

「え？俺は居候の身なんだから床で寝るよ」

「ダメだよ！大事な体なんだから柔らかい場所で寝ないと！」

「あ、じゃあ一緒にベッド使えばいいじゃん。せっかく大きいベッドあるんだし」

「い、一緒に！？」


なんて破廉恥な！！
危機感がないにもほどがある！いやさすがに襲わないけど！


「あー…でも山田は俺と一緒にベッド使うの嫌だよね…」

「いや！？そんなことないけど！？一緒に寝るの全っ然嫌じゃないよ！一緒に寝よう伊野尾ちゃん！」

「そう？じゃあ嫌になったら言ってね。俺が移動するから」


……あっぶねー…動揺して一緒に寝るチャンスを逃すところだった…。
好きな人と隣で寝るなんてとんでもないことだけど、せっかくのチャンスを無駄にするなんて勿体ないもんね！

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