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千冬side




今どきの若いやつらは、色んな言葉に食いつく。

流行りのものだったり、珍しいものだったり。

佐藤がプロポーズ現場に出くわした、なんて大声で言えば、
周りの若者は興味を示す以外ないのだ。

佐藤「え、がち?まじでプロポーズ?」

サプライズしたかったけど、もう知らねぇ、

告白だってそうだった。

ここまできたら言うしかないんだよ。


『だーっ!!もう知らん!!

おい佐藤!!こっからは何も言うなよ!!』


そう言って、俺はAさんの隣に座り直した。

『Aさん、』

「はっはい、」

Aさんのこの表情と反応からして、
多分もう察してる。

だけど俺は、全力で伝えてみせる。

まるでサプライズしたみたいに、

ぶわっと涙が出るみたいに、

最高のプロポーズができるように。

紙袋から花束を出して、落とさないように腕で支える。

すぐに出せるよう、右ポケットに入れていた箱を取り出して、

Aさんの目の前でパカッと開いた。






『Aさん、俺と結婚してください。』















『俺は、あなたとずっと過ごしていたいです。

俺があなたを幸せにしたい。

どうか、

どうかずっと、



俺のそばにいてくれませんか。』





Aさんは、両手で口元を隠して言った。





「う、うそ、……ほんとに?」


『…はい。』




Aさんはそのまま両手で顔を隠してしまった。



『…Aさ、』

俺がAさんを心配しようとするのも束の間。

一瞬にしてAさんの香りに包まれた。

Aさんは俺に抱きついてきたのだ。

「嬉しいっ、嬉しすぎるよっ…!」

『…!』

「私も松野くんと幸せになりたいっ……!







こんな私でよければっ、よろしくお願いします…!」







佐藤「ひゅ〜〜!!

お前には負けるよ松野ー!!幸せになれよー!!」

佐藤のそんな声と、

佐藤以外の、知らない人たちの歓声と拍手。

Aさんと抱きしめ合いながら、ちらりと周りを見ると、
スマホを構えてる人もいたし、指笛する人も、
おめでとうと言ってくれる人が大勢いた。

『一生大切にします。』

「っうん、」

『…愛してます』

「私も愛してる…!」






サプライズは出来なかったかもしれないけど、



Aさんは泣くほど喜んでくれた。



周りの人たちもたくさんの歓声を送ってくれた。



プロポーズは大成功でしかなかったと思う。





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作者名:えび天 | 作成日時:2023年9月13日 23時

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