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千冬side




ついに、2人でケーキ入刀した。

俺とAさんは、ナイフを一緒に持ったわけだが、



「…もう、手、震えすぎじゃない?」



そう、震えすぎていた。

これにはAさんも苦笑い。

『すっ、すみません…、』

「いいよ、私も緊張したから。」

隣にいるAさんも、多分同じ。

泣いてるし、手も心做しか震えてる。

「佐野くんが司会なんだね、」

『どうしてもやりたいって駄々こねたらしいですよ』

「ふふ、面白い。」

『まったく、傍から見たらコントですよこんなの』

「でも、堅苦しくなくて楽しくない?

私たちらしくて、私は好き。」

『確かに、そうっすね』

すると、席から三ツ谷くんが思い出したように言った。

三ツ谷「なあ、ファーストバイトしねぇの?」

マイキー「何それ」

三ツ谷「司会なら分かっとけよ。

ファーストバイトってのは、新郎新婦がお互いに
ウエディングケーキ食べさせるやつだよ。」

マイキー「へー」

「ふふ、するよねー?」

『はい、します。したいです。』

ケーキ入刀したなら、ファーストバイトもしないと。

Aさんは、本来のスプーンより、何倍も大きい、
約50センチいくかいかないほどのスプーンをとった。

ケーキをすくって、俺に差し出した。

でかくね?さすがに一口は無理…、

「はい、あーん。」

『あー…』

俺は大きく口を開けて、ケーキを頬張る。

マイキー「あははは!Aケーキすくいすぎだろ!」

三ツ谷「千冬、クリームまみれだ。」

『ふぁい、ふひほへのはんへふほ』

はい、次俺の番ですよ、と、ケーキであふれそうな口で
そう言った。

「……遠慮しなくていいよ?

千冬くんのこと、クリームまみれにしちゃったし。」

と、Aさんは怪しい笑みを見せた。

こうなったらAさんにも、クリームの髭を付けさせる以外
選択肢はない。

Aさんと同じくらい、ケーキをすくって
Aさんに差し出した。

『あーんしてくださいね』

「ふふ、やり返してきた。」

Aさんは多くすくったケーキに頑張ってかぶりつく。

エマ「やーんAさん可愛いー!!」

ヒナ「2人ともクリームの白ひげおそろい!!」

「んん!」

目をキラキラさせてケーキを食べてた。

かわいい、まじでかわいい。

「千冬くん、すっごいおひげだね」

『Aさんこそ。』

エマ「2人ー!こっち向いてー!

白ひげ新郎新婦写真に残しちゃいまーす!」

エマちゃんのカメラに、2人でピースを向けた。




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作者名:えび天 | 作成日時:2023年9月13日 23時

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