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Noside
コンコンと、優しくドアをノックする。
はーいと返事が来たことを確認して、ノックをした2人、
ヒナとエマはゆっくりと部屋に入った。
そこには、オフショルダーのプリンセスラインドレスを
身にまとったAの姿があった。
髪の毛はゆるくまとめてあり、ちょうどいいくらいに出た
後れ毛はほんのりと巻かれている。
そんな頭から背中にかけて、純白のヴェールが流れていた。
もちろん、小さな白い花も頭に咲かせて。
「よかった、来てくれてありがとう。」
エマ「Aさっ…、すっごく、綺麗…、」
ヒナ「………」
ヒナはもう、言葉さえも出なかった。
目の前で優しく笑うAが、絵本の中から出てきた
お姫さまのように美しかったのだ。
そんなAの姿に感動しているヒナとエマは、Aに、
控え室に来て欲しいと招待されて、ここに来ていた。
「…私ね、
2人にちゃんとお礼が言いたくて来てもらったの。
私が今この姿でここにいるのも、2人のおかげだと思ってる。
たくさん協力してくれて、応援してくれてありがとう。」
不意に伝えられたAの気持ちに、ヒナとエマは
ぽろりと涙をこぼした。
「えっ…！ふ、ふたりとも…！」
エマ「あ〜！Aさぁ〜ん！」
ヒナ「Aさんっ…！」
エマとヒナは遂に我慢できず、Aに抱きついた。
「ふふ、本当にありがとう。」
Aも欠かさず、2人を抱きしめる。
すると2人は、ぱっと笑顔に戻り、
エマ「ね、Aさんの友人代表スピーチは、
ウチらがやるんだよ！」
「ええっ！そうなの？」
ヒナ「そうですよ！そこで全部伝えますからね。」
「…もう、絶対泣いちゃうじゃん。」
エマ「本気で泣かせるんだから！」
少し3人で話していると、再びドアのノック音が聞こえた。
スタッフ「失礼致します。
Aさま、そろそろお時間ですので…」
「はっ、はい！
じゃあ、2人とも、またすぐ、後でね。」
エマ「うんっ……！」
ヒナ「たっくさん楽しみましょうね！」
そう言って、2人は控え室を後にした。
スタッフ「……では、もう入場の準備に入りますので、
一緒に向かいましょう。」
「…はい。」
スタッフとAは誰もいない、静かな室内を歩いた。
すると、会場の入口であろう大きな扉に、千冬が
立っているのが見えた。
「…千冬くん」
千冬「…！
Aさん…！
さ、行きましょうか。」
「…うん。」
2人は腕を組み、ゆっくりと空いていく扉を待っていた。
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作者名：えび天 | 作成日時：2023年9月13日 23時
