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千冬side




『………、』

「…どう?似合う?」

目の前のカーテンからゆっくり出てきた、
真っ白のドレスを身にまとったAさん。

その姿は、他のもので例えられないほど美しかった。

純白に輝く、オフショルダーのプリンセスラインのドレス。

『…め、めっちゃ、似合ってます、』

この姿を見た途端、俺はAさんと結婚するんだって、
実感させられた。

じわじわと目頭があつくなってくるのがわかる。

「え、ち、千冬くん…?」

『あ…、すいませんっ、俺、また我慢できなくて、』

「もー!はやいよー!

まだドレス選びに来ただけだよ?」

泣き始める俺を宥めるAさん。
それを見て微笑む店員さん。

店員「ふふ、本当にお似合いですよ。」

「本当ですか?ありがとうございます…!」

わかってるな店員のお姉さん…!!
まあAさんには何でも似合うと思うけど…!!

「ねえ千冬くん、私このドレスがいい…!」

『ですね、俺もすごくいいと思います。

あとはAさんに任せますよ。』

「うん、うん…!」

店員「そうですね、どうされますか?」

「…私、これがいいです…!」

店員「かしこまりました!少々お待ちください!」

店員さんは手続きとかの準備かな、
急いで裏へ駆け込んでいった。

純白を身にまとったままのAさんをじっと見つめて、
俺は言った。

『…ほんと、素敵です。』

「急になに…?」

さっきまで泣いてたのに、と笑うAさん。

『いや、やっと実感したんです。』

「そっかぁ、だけどね、実は私も。」

『えっ、』

「ついに千冬くんと結婚だって。

私、松野 Aになるんだよ。」

『…っすね、』

「ふふ、結婚披露宴楽しみだね。

みんなにちゃんと感謝伝えて、
楽しんでもらえるようにしたいね。」

『…はい。』

みんな、来てくれるかな、来て欲しいな。

店員「Aさまー!」

「はいー!」

準備が終わったであろう店員さんがAさんを呼んだ。
すると、試着していたドレスを脱ぎにまた行ってしまった。

店員「では松野さまは…、先にあちらの椅子で
しばらく待機をお願いいたします!」

『はい。』

俺は指定された椅子へ座る。
そして、これからの事を考えた。

俺たちの順番としては、まず結婚披露宴。
その後にすぐ、入籍する予定だ。
もちろん、住む場所も一緒になる。

まあともかく、今は結婚披露宴。

10年前から協力して、応援してくれたみんなに、

最大の感謝を伝えられるように。



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作者名:えび天 | 作成日時:2023年9月13日 23時

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