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『酷くない？俺のことなんだと思ってんの？
ごめんねなんていう選択肢はお前にないの。
俺と生涯生きてくしかねぇんだよ！
自分で選べる人生も、自由もどこにもない。
俺らはそういう家に生まれたんだから』
｢だから、変える｣
私だってそう思ってた。
聳え立つ壁を何年も見ていれば、
越えようなんて気力も湧かなかった。
…1人のままだったら。
｢抵抗出来るんだよ。亮平さん｣
親という、幼子にとって絶対的な存在。
柔らかい脳にインプットされたその支配は
抵抗できる歳になっても全身を蝕んで離れない。
反抗的な態度をとってはいても、結局は
私だって逃れられないと思っていた。
親が絶対ではないということを
大介が教えてくれた。
だから、きっと亮平さんも。
『抵抗…？言ってるじゃん、夢見ないでよ』
俺はね、と下げられていた銃口が
私に向いた。
『何して、』
『執事は黙ってろ、己の身分も弁えられない愚か者』
すぐそこに死がある。
そう思うと情けないが声が出なくなった。
『俺はAちゃんが好きだから隣に居て欲しいだけ。
俺のお嫁さんになって、俺の隣で笑ってほしいの。
俺じゃないやつと逃げようとしてんのがむかつくの。
戻ってこないなら、俺だけのになんないなら
ここで死んでもらった方がマシ』
『何言ってんだ……正気かよお前、』
『正気も正気だ。ついでに言うならここに1人で来た時から
Aの処遇に関わらずお前だけは消すと決めている。
俺の大切な婚約者を唆した罪は重いからな』
私を連れ戻そうとするのは親や会社ではなく自らのため。
彼は、ちゃんと好きになってくれたのか。
大介と同じように。
だけど…いくら普通の恋をしたことがないといっても
今のこの状況が正しくないことは分かる。
好きな人は大切に想う人のことだ。
大切に想う人には、生きていてほしいはずだ。
彼が私に突きつけているのはその真逆。
｢亮平さん、それじゃただの犯罪者だよ…｣
『今更何？そんなこと言ったらそっちの執事は誘拐罪だけど』
殺されるぐらいなら
亮平さんといた方がいいのかな。
そんな考えが一瞬よぎる。
いや、でも。
大介のことはどちらにせよ消すと言っていた。
それなら抗おう。
たとえどのような結末になっても。
自分の人生を選び、生きたと言えるように。
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カジャ(プロフ) - なべさん» 大変嬉しいコメントありがとうございます。もう少しお付き合いください。 (3月13日 18時) (
レス) id: c91b141c55 (このIDを非表示/違反報告)
なべ(プロフ) - 初めまして、コメント失礼します。 前作の縁‐YUAN‐から読ませていただいてます。 とても素敵なお話だな、と思いながら…今後も更新楽しみにしています。 (3月13日 3時) (レス) @page26 id: d14fd2bd0e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：カジャ
| 作成日時：2024年3月2日 18時
