第103話：二匹 ページ7
渡海は目の前の人物に応じることなく、「彼」の隣を通り過ぎて行く。
彼も特に追いかけるようなことはしなかったが、渡海の方へ振り返り、言った。
「――そういえば、彼女の容態は？」
呟くような声色だった。しかし明らかに渡海に対して向けた言葉だ。
二人しかいない廊下で、その声は嫌なほどに反響した。
渡海はぴたりと足を止め、振り返る。
帝華大からの刺客。あるいは新任講師。
スーツ姿の高階が、渡海の背後に居た。
「誰のこと？」
「おや、貴方が非常に気に召している彼女ですよ」
「知らないな」
「……それは、どちらの意味で？」
「どっちも」
渡海はゆらりと高階から背を向けて、今度こそ去っていく。
曲がり角へと吸い込まれるかのように渡海の姿が見えなくなった時、高階は溜息をついた。
(……まぁ、変わらず仮眠室に居るのだろうけど)
隠す気でいるのなら、せめて立ち入らないようにすればいいのに。
高階は、熱に魘された彼女の寝顔を思い返しながらその場を去って行った。
■
「あ、渡海先生。ちょうどいいところに…そろそろAさ、うぉ！？」
「第一号こっち」
「第一号ってなんですか！」
「…んぁ、おかえりなさい。世良くんも何か、ぶへっ！？」
「鞄持て」
「何も言わず白衣投げつけるのはナシでしょ！何！？」
「渡海先生なんですか、突然引っ張って…」
なぜか医局から仮眠室は(主に三人、厳密には二人が)わちゃわちゃしている。
渡海は医局に入るや否や近づいてきた世良の襟元を掴み、
そのまま引きずるように仮眠室へやってきたかと思えば、Aに白衣を投げつけた。
突然の行動に、悪魔の飼い犬の二人はただただ戸惑う。
「えっ…なん、ですか…？」
「あいつにバレてる」
「あいつ？」
世良は首を傾げる。あいつ、とは。名詞をくれ、名詞を。
「んー？高階先生ですか？」
「ん」
「なんで分かったのAさん」
間も入れずにAは渡海のいう「あいつ」を言い当てる。
さすがに世良もつっこまずにはいられない。なんでわかった。本当に。
「えっ、やばくないですか？」
世良は焦る。
「やばくはねーよ。けど厄介だから早く帰れ」
「うおー、人を仮眠室に密閉しといてその言い様ですか」
「高階先生こっちに向かってるんですか？」
「知らん」
「「知らん！？」」
「なんで先生そんなに冷静なんですか！？」
「うるせえ。おら、さっさと出ろ」
「先生のあほー！！！」
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K(プロフ) - ふみさん» コメントありがとうございます！！大好きと言って頂けてとてもうれしいです（；▽；）！！ありがとうございます！！もはやこれ終わる予感がしない！って自分も思っております（笑）更新も頑張ってまいりますー！！ (2018年6月13日 23時) (
レス) id: f4cc5215a6 (このIDを非表示/違反報告)
ふみ(プロフ) - はじめまして。3まで読ませていただきました。とてもKさんのお話が大好きです。いつまでも見ておきたいので完結しないでください！笑大変ですが更新頑張ってください！ (2018年6月13日 21時) (レス) id: 26dbac27a1 (このIDを非表示/違反報告)
K(プロフ) - 甘楽さん» あ〜〜甘楽さんお久しぶりです！！コメントありがとうございます！！(；▽；)本当ずっとずっと読んでいただけてるんですね…！ありがとうございます…！ ドキドキいただきましたー！！やったぜ！！続編もバリバリ頑張っていきます！！(*´∀`) (2018年6月12日 18時) (レス) id: 8206d0720a (このIDを非表示/違反報告)
甘楽 - お久しぶりです！いつもドキドキしながら楽しみに読ませて頂いてます！続編おめでとうございます！続編も楽しみにしてます！！ (2018年6月11日 23時) (レス) id: 6c0600def1 (このIDを非表示/違反報告)
K(プロフ) - メットさん» コメントありがとうございます！ワクワクドキドキして頂けてよかったです…！！書き甲斐があります(*´ω`*)！ たくさんの応援コールも本当にありがとうございます！！いっぱい頑張れます！！（笑）続編も楽しみにお待ちくださいませ(*ﾉωﾉ)！ (2018年6月11日 21時) (レス) id: f4cc5215a6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：K | 作成日時：2018年5月22日 21時
