こんにちは、お兄さん【衣更真緒】

１６回目 ページ16

最悪すぎる



「(なんでよりにもよって今日なわけ…)」



お腹を擦りながら必死に先生の話に耳を傾ける

内側から殴られるような痛みに耐える

来てしまったのだ、女の子の日が

しかも今日は体育もあるし、放課後には委員会もあるし



「(元々重いのは知ってたけど何これ死ぬ)」



ぐぇぇ…と机の上に項垂れる

しかも何より辛いのは今日から明日にかけて両親が不在なこと



「(出張だっけ、旅行だっけ)」



覚えてないや

周りの音が少し遠くなった気がする

何これ


ガンガンとする脳を抑える

待って、これって



「(やば、)」



もう千切れそうな意識でそう思った途端

後ろから肩を静かに叩かれる

芽衣だ

そうは分かっているが反応する前に

考えていた予感は的中してしまい、目の前が真っ白になった


ガタン＿



「A…！？」



後ろから聞こえる友人の声が耳に入る前に

私は横に倒れ、椅子から落ちた


＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿

あれから授業は一旦中断され、友達は保健室へ担架で運ばれていた

数分前から何だか後ろから見ていて様子が変だとは思ってはいたが倒れるまでとは思っていなかった

授業の予鈴と共に席を立ち上がり、号令しているクラスメイトの後ろを通って教室を飛び出す

急いで階段を駆け下りて保健室に向かった



「失礼します。」



万が一寝ていた場合、驚かせないようにゆっくり扉を開けると保健室の先生と話しているAの姿を見つける

良かった。と安心して飛び付くのをグッと堪えた



「あ、芽衣」

「大丈夫？どうしたの？」



すごい心配したんだけど。と怒るとごめんねと謝られる

生理痛が酷い上に貧血でさ…と苦笑する



「今日はこのまま授業受けるのも心配だし、早退をオススメするわ」

「分かりました、ありがとうございます」



Aが居ないのは寂しいけど、また倒れたりしたら心臓がいくつあっても足りないから私としても安心だ

あれ、でも…



「A、明日まで親御さんいないんじゃなかった？」



今朝、そんなような事を言っていたのを思い出した

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