6. ページ6
心の中の何かが崩れた音がした。
あまりにも急なことで、予想にはなかった。
Aはマントごと壊理を抱える。
そして、逃げようと退路があるかどうか見渡す。
「ヒーローがマントを羽織るのは！痛くて辛くて苦しんでる女の子を、包んであげる為だ！」
何が嫌で、痛くて辛くて苦しまなきゃいけないんだの、包んであげるだの。
そんなことを言われなきゃならないのか。
壊理は呆然としている。
いきなり来たヒーローに言われても何も思わない。自分は救ってほしいと思ってすらない。
ヒーローが色々と叫びながらオーバーホールを殴ったり、クロノスタシスを蹴ったりする。
どうして、自分の憧れの人を苦しめてる人の言うことを聞かなきゃならないのか。
Aには分からなかった。
「もう指一本触れさせない！二人まとめて倒してやる!!おまえの負けだ、治崎!!」
負け。
その言葉を、聞きたくなかった。
『……壊理ちゃん。あの人がここに来たのは、壊理ちゃんのせいだよね？だめだよ。こんなことしちゃ。ね？あの人が
「……っつ！」
壊理の肩が震える。
それはそうだろう。わざとこんな言い方をして、壊理の心を折らせるのだ。
それが目的だった。
壊理を呼ぶときに、“壊理ちゃん”と呼ぶのには理由があった。
簡単だ。壊理は薬の元。
そして、Aが
オーバーホールの元にいられるのは、壊理のお陰だからだ。
そして、それ以外に壊理に対して感じる感情。
わずかな、羨ましさと妬ましさと親しみ。
Aは相反する感情の全てを込めて、壊理の名前を呼ぶのだった。
Aが壊理をなだめていると、突然声がする。
「共に歩まねば!!」
「音本!!!」
声の方を見ると、音本というオーバーホールの部下がはいずりながら部屋に入ってきた。
Aにとっては、なんとも感じない、ぼんやりと雰囲気を覚えている程度の人だったが。
オーバーホールは銃の弾が入った箱を音本に投げる。
音本はそれを拾い、弾を銃に込め、持ち構える。
「撃て!!!」
音本は考えているのか、少し動きを止める。
どこに撃つのか決めたのか、銃口をどこかへ向ける。
そこは……Aと壊理がいる方向だった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 483人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ヒロアカ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
引きこもり隊 - 最後「幸せに笑ってろおおぉぉぉ！！！！」って思った。神すぎる。天才。 (2022年8月23日 20時) (
レス) id: af8345609d (このIDを非表示/違反報告)
あまね(プロフ) - え？？？神ですか？あ、神ですね！( ´∀`)ﾊﾊﾊ好きです（唐突な愛の告白←） (2020年11月30日 17時) (レス) id: 1a6dd63888 (このIDを非表示/違反報告)
桜 - めっちゃ面白いです！！更新頑張ってください！！ (2020年9月13日 7時) (レス) id: ced64b0a1f (このIDを非表示/違反報告)
モカ(プロフ) - 読んでて面白くて、更新されるたびにとても嬉しくなります！更新頑張ってください！ (2020年9月9日 6時) (レス) id: 935a46d4ab (このIDを非表示/違反報告)
花音 - 読んでて凄く面白かったです！更新頑張ってください！応援してます！ (2020年1月24日 19時) (レス) id: 07869dbeb9 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
