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大阪での公演を終え、東京へ移動する途中に私は実家へ足を運んだ。
「やだ〜Aー！！おかえり〜！まさか帰って来てくれるなんて思わなかった！」
ママはきゃぴきゃぴ喜んで、「お腹すいてる？ご飯食べる？」と聞きながら私を中へ入れてくれた。
『ご飯は大丈夫！ってか、あんまり長くはいれないから……すぐに東京に向かわなきゃ』
「えっ、そうなのね……」
『ごめんごめん、けど9日にはまた会えるんだし！』
「それもそうね！ママすっごい楽しみなのよ、なんせ初めてのライブだもん！」
『私も嬉しいよ！ママたちが来てくれるの。仕事頑張ってて良かったと思う』
いつか神奈川の会場でも出来たらいいんだけどな。
近い将来で、叶ったらいいな。
「そうだわA、韓国でご飯はちゃんと食べられてる？睡眠時間はとれてるの？」
『まあぼちぼちって感じ。ご飯は食べる時間あんまりないけど…とりあえず睡眠はしっかりとってるよ』
「風邪とか引いたりしなかった？仕事は辛くない？大丈夫？」
『体調はずーっと大丈夫！仕事も楽しいよ、毎日忙しないけどね。心配いらないよ、大丈夫』
テーブル上のカゴに入っていたカントリーマアムをひとつ摘まむ。
「心配はするわ」
『…？』
ママは私を真っ直ぐに見つめる。
「娘だもん。心配はする。すっごくする。だって、いくら大人になったからって、大事な娘が自分の知らないところで生活してるんだもの」
『ん…』
「Aはね、自分を低く見積もりすぎ。昔からそうよね、そんな事ないって意地張るけど……いつだって自分自身は二の次」
『……だって、私はいつだって人生やり直せるかなって…』
「そりゃあそうよ！1回や2回や10回くらいの失敗なんて気にするもんじゃないし、やり直す方法は、死なない限りいくらでもある」
『またそれ言う(笑)』
そう。私がこんなに能天気ポジティブバカになったのは、きっと家族がこんなにポジティブだから。
こんなに優しいから。
……こんなに愛してくれるから。
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作者名：歓楽街
| 作成日時：2023年2月18日 13時
