▽ ページ19
【ウォヌ】
だって、どう見たってあれは兄弟へ向ける眼差しなんかじゃない。
もちろん視線はすっげー優しいけど………。
「何見てんだよ、ウォヌ(笑)俺なんて見てても面白くないよ？」
「……あ、うん」
笑うヒョンに俺はそんな返事しか出来なくて、ソファーに座ることにした。
『燎くんも勉強頑張ってる？そっか、頑張ってね。パパ仕事しすぎてない？大丈夫？』
「ヒョン、ヌナが何言ってるか分かるよね？」
「うん」
「どんな事、話してんすか？」
「さっきまでコンサートの話……今は、家族の健康についてってとこ」
ヌナもやっぱり人なんだな……。よかった。
そうやって考えたところで、頭の中でジフニが「お前ヌナの事、人外だとか思ってる？」と聞いてきたが、吹き出しそうになったから軽く頭を振ってその幻影を払う。
『うん…あっ、そうなの？ごめん急に電話して。じゃあまた、すぐに電話するかも知れないけど……うん！ありがとう。今度ね、うん、じゃあね』
ヌナは少し寂しそうに電話を終わらせた。
「言いたいことは言えた？」
『うげっビビった……いたなら言ってくれよ2人とも』
「教えたところで」
『確かに。まっ、大事なことは全部話せたよ。もう少し電話してたかったけど……向こうには向こうで予定があるから…またいつか電話するよ』
「すぐに電話したらいいじゃん、そんな…気を遣わなくても」
俺も思っていたことを、シュアヒョンはヌナに聞いた。
『ううん、たくさん電話すると会いたくなるから』
「……それは、みんな同じだと思うけど」
毎日のように親に連絡を入れているメンバーもいる中で、ヌナが家族に連絡をする頻度はかなり低い。
話に聞く限り相当仲良しだって言うのに…だ。
『あー……違う違う、なんつーか…挫けそうで(笑)』
そんなふうに笑うけど、俺たちからしたらちょっとも笑えない。
その言葉は、本人に自覚がなくても俺たちの不安を煽る。
『うちの家族はみんな優しいからさ。辛かったら帰っておいで、って言ってくれんだよ。だから………甘えちゃいそうで』
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作者名：歓楽街
| 作成日時：2023年2月18日 13時
