あの指輪とネックレス ページ38
紫耀「ありがとう…」
そう言って私の胸元にそっと抱き着くように寄り添ってきた。
抱きしめて欲しいのね。
そう思い、
紫耀を抱き締めてあげる。
A「フフ。他には？」
紫耀「指輪付けて欲しい…俺達のヤツ。」
A「あの指輪…？」
紫耀「うん。明日まででいいから。あの時のペアリング、あれをしてて欲しい。」
A「うん。」
待ってて？
そう言って隣の部屋に入り、
すぐに戻って来た。
その手にはあの指輪が…
迷わず、
私の左の手を取ると、
薬指にはめられた。
紫耀の指にもはめられていた。
紫耀「やっとペアリングになった…」
A「懐かしい…。嬉しいな。まだ持っててくれたんだね。」
なんだかこの指輪の、
重みが懐かしかった。
紫耀「当たり前じゃん。」
A「ありがとう。」
紫耀の指にもはめられたその指輪を見ていると、
紫耀「あとはね、これも！」
弾んだ声でそう言って、
私の首に付けられたネックレス。
それは一粒ダイヤのあのネックレスだった。
これもまだ持っててくれてたんだ…
A「これ…。これもまだ持っててくれたのね。紫耀…ありがとう」
紫耀「やっと持ち主に付けてもらえて、良かったって言ってるよ。」
A「フフ。うん、おかえり。」
そう言って、
左手でネックレスに触れた。
その手を取られ、
薬指にキスを落とされた。
紫耀「おまじないかけたから、もう外れないかもよ？」
A「フフフ。」
そうだったらどんなにいいか…
凛の存在も忘れて、
そう思ってしまう自分がいた。
そんな自分に呆れ、
馬鹿だなって自分を笑うように、
下を向くと、
紫耀「…キスして？」
そう言われた。
A「うん。」
そう言って、
紫耀へ口付けた。
優しく、
ゆっくりと。
A「好き…」
と言うと、
紫耀「愛してる…」
キスの合間にそう言われ、
A「私も…私も愛してるわ」
そう答えた。
明日まで…
もう嘘はつかない。
想いを隠さない。
強がらない。
意地を張らない。
付き合っていたあの頃のように、
今だけだから、
心は紫耀だけでいっぱいにしてもいい？
紫耀「A愛してる。…抱きたい。」
熱く見つめられ、
A「私も愛してる。抱いて…」
そう言い、
首に両手を回すと、
紫耀からも引き寄せるように、
力強く首の後ろに手が差し込まれ、
お互いに求めるような、
舌を絡ませるキスに変わった。
それは、
長い夜の始まりの合図となった。
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作者名：ひろみ
| 作成日時：2021年8月7日 1時
